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最低賃金の決め方に変化? 地域間競争が生む課題とは
近年、引き上げが続く最低賃金ですが、その決め方を巡って新たな議論が巻き起こっています。 厚生労働省が開催した「目安制度のあり方に関する全員協議会」の報告により、地方での審議の課題が浮き彫りになりました。 令和7年度の最低賃金改定において、国の目安を10円以上も上回る大幅な引き上げを行った県が11ありました。 これらの県における審議状況を調べたところ、引き上げの背景にある意外な理由が判明したのです。 それは、「近隣県との格差を是正したい」ということや、「最下位になることを回避したい」という思惑です。 本来、最低賃金法では、労働者の生計費、労働者の賃金、そして通常の事業の賃金支払能力という3つの要素に基づいて審議することが定められています。 しかし、近年の地方の審議では、地域間での過度な競争意識や最下位争いといった、制度本来の趣旨から離れた議論になっているのではないかとの指摘も見られます。 周囲の動向を気にするあまり、地域の実情以上に近隣県との比較が重視される場面もあるのではないかと、適切な審議のあり方が問われています。 確かに、人手不足の中で他県へ
Takashi Fukunaga
18 時間前読了時間: 2分


50人未満事業場のストレスチェック義務化は2028年4月1日開始か
労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について、これまで「努力義務」にとどまっていた常時50人未満の事業場にも、ついに実施義務が課される見通しとなりました。 労働政策審議会は、改正安衛法に基づき、令和10年4月1日を施行期日とする政令案を厚生労働大臣に答申しており、今後、正式な政令公布を経て制度が具体化していく流れです。 現行制度では、ストレスチェックの実施義務があるのは「常時50人以上の労働者を使用する事業場」に限られ、50人未満の事業場については「当分の間、努力義務」とされています。 しかし、メンタルヘルス不調のリスクは企業規模にかかわらず存在し、中小企業でも長時間労働や人間関係の負荷が高い職場は少なくありません。 こうした状況を踏まえ、今回の改正では、事業場規模にかかわらず、原則としてすべての事業場で年1回のストレスチェック実施を義務付ける方向が示されました。 今回の答申で特に重要なのは、施行期日が令和10年4月1日と明確に示された点です。 「公布から3年以内の政令で定める日」とされていたものが具体化されたことで、企業としても逆算して準
Takashi Fukunaga
7月10日読了時間: 3分


職場の熱中症の死傷者数4割増、死亡者数4割減 ― いま企業が取るべき対策とは
近年の猛暑を背景に、職場の熱中症災害は深刻さを増しています。 厚生労働省の集計では、直近の統計で「熱中症による死傷者数は約4割増加」した一方で、「死亡者数は約4割減少」したと報告されています。 一見すると相反するようなこの数字は、私たちに何を示しているのでしょうか。 まず押さえたいのは、「倒れる人は増えているが、命を落とすケースは減っている」という現実です。 つまり、暑さそのものはより厳しくなり、熱中症で救急搬送される人は増えています。 しかし、企業による予防対策や早期対応が進んだ結果、致命的な事故は減少していると考えられます。 これは前向きな変化であると同時に、「対策をやめた途端に、また死亡災害が増えかねない」という警鐘でもあります。 では、どのような要因で死傷者数が増えたのでしょうか。 一つは、気候変動に伴う「暑さの質」の変化です。 最高気温だけでなく、湿度が高く風が弱いなど、体から熱が逃げにくい条件が重なる日が増えています。 また、高齢労働者の増加や、屋外・倉庫内・調理場など高温環境で働く人の多さも影響しています。 さらに、冷房があっても「
Takashi Fukunaga
7月3日読了時間: 3分


形式だけの役員加入は認められる?厚労省が「国保逃れ」事案に対応
個人事業主やフリーランスの方を、形式上だけ法人の役員にして、国民健康保険や国民年金ではなく、健康保険や厚生年金保険に加入させるような事案について、厚生労働省が取扱いを明確にしました。 いわゆる「国保逃れ」と呼ばれるような仕組みです。 問題とされたのは、社会保険料の削減をうたい、個人事業主等を法人の役員にしたうえで、役員報酬より高い会費等を支払わせているようなケースです。 このような場合、形だけは役員であっても、実際に法人に使用されているのか、役員として経営に関わっているのかが問われます。 健康保険や厚生年金保険の被保険者となるには、法人から労務の対価として報酬を受け、実態として法人に使用されていることが必要です。 単に役員会に出席するだけであったり、求められたときに意見を述べるだけであったりする場合は、経営に参画する経常的な労務の提供とは認められにくくなります。 また、アンケートへの回答や勉強会への参加、活動報告や情報共有、事業紹介への協力にとどまる場合も、実態として役員の業務とはいえない可能性があります。 法人に使用されている実態がないと確認さ
Takashi Fukunaga
6月26日読了時間: 2分


「もっと働きたい人」は少数派?労働時間を増やしたい労働者は1割にとどまる
人手不足が続く中で、「もっと働きたい人に働いてもらえばよい」という考え方を耳にすることがあります。 しかし、労働者側の意識を見ると、必ずしもそう単純ではないようです。 厚生労働省が公表した「働き方改革関連法施行後5年の総点検」では、労働時間を増やしたい労働者は約10.5%にとどまりました。 一方で、労働時間はこのままでよいと答えた人は約59.5%、減らしたいと答えた人は約30.0%でした。 つまり、多くの労働者は、今より長く働くことを望んでいるわけではありません。 労働時間を増やしたい理由としては、「たくさん稼ぎたいから」が最も多く、残業代がないと家計が厳しいという回答もありました。 これは、長く働くこと自体を望んでいるというより、収入を確保したいという思いが背景にあるとも考えられます。 会社としては、人手不足への対応を残業時間の増加だけで解決しようとすると、従業員の負担感が高まりやすくなります。 特に、労働時間を減らしたいと考える人が3割いることを踏まえると、長時間労働を前提にした職場づくりは、採用や定着の面でも不利になる可能性があります。..
Takashi Fukunaga
6月19日読了時間: 2分


期限切れ保険証の暫定措置が令和8年7月末まで延長されました
従来の健康保険証は、令和6年12月2日以降、新たに発行されなくなりました。 現在は、医療機関や薬局を受診するときには、マイナ保険証または資格確認書を提示することが基本となっています。 ただ、制度の切り替えが進む中で、手元にある古い保険証をそのまま持参してしまう方もいます。 特に、受診の機会が少ない方や、高齢の方では、マイナ保険証や資格確認書への切り替えが十分に伝わっていない場合もあります。 こうした状況を踏まえ、期限切れの保険証を持参した場合の暫定的な取扱いが、令和8年7月末まで延長されることになりました。 この暫定措置では、医療機関などが被保険者番号等をもとに資格情報を確認できる場合、一定の自己負担割合で受診できる取扱いが続けられます。 ただし、これはあくまで移行期の混乱を避けるための特例です。 期限切れの保険証を、今後も通常どおり使い続けてよいという意味ではありません。 受診の際には、マイナ保険証を使うか、マイナ保険証を持っていない場合は資格確認書を持参する必要があります。 会社としても、従業員から「古い保険証はまだ使えるのか」と聞かれたとき
Takashi Fukunaga
6月12日読了時間: 2分


最低賃金改定で「正社員」の賃上げをした企業が3割超に
最低賃金の改定というと、パートやアルバイトの時給を見直す話として受け止められがちです。 しかし、最近はその影響が正社員にも広がっています。 日本商工会議所の調査によると、2025年度の最低賃金引上げにより、最低賃金を下回る従業員がいたため賃金を引き上げた企業は45.1%でした。 さらに、その対象となった従業員の雇用形態を見ると、パートタイム労働者は79.6%、正社員は32.4%となっています。 正社員については、前年調査の27.2%から5.2ポイント増えています。 この数字から分かるのは、最低賃金の引上げが、もはや一部の短時間労働者だけの問題ではなくなっているということです。 特に地方や小規模企業では、月給制の正社員であっても、時給換算すると最低賃金に近い水準になっているケースがあります。 そのため、最低賃金が上がると、正社員の基本給や手当の見直しが必要になることがあります。 また、最低賃金に近い人だけを引き上げると、周囲の従業員との賃金差が小さくなります。 その結果、経験年数や責任の重さに見合った賃金バランスを保つために、他の従業員の賃上げも検
Takashi Fukunaga
6月5日読了時間: 2分


資格取得届の提出期限は施行日後3か月以内に
令和10年10月1日から、雇用保険の適用対象が大きく広がる予定です。 現在は、原則として週所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある労働者が雇用保険の対象です。 この週所定労働時間の要件が、令和10年10月1日から10時間以上に引き下げられます。 これにより、これまで雇用保険に入っていなかった短時間勤務のパート、アルバイトの方も、新たに対象となる可能性があります。 通常、雇用保険被保険者資格取得届は、被保険者となった月の翌月10日までに提出する必要があります。 しかし、今回の適用拡大では、施行日に新たに被保険者となる方が一斉に発生することが想定されます。 そのため、届出が集中して事務手続きに混乱が生じないよう、経過措置案として、施行日後3か月以内に提出すればよいとされています。 ただし、3か月の余裕があるからといって、準備を後回しにしてよいわけではありません。 会社としては、まず週10時間以上20時間未満で働いている人を洗い出す必要があります。 あわせて、雇用契約書の所定労働時間、勤務シフトの実態、31日以上の雇用見込みの有無も確
Takashi Fukunaga
5月29日読了時間: 2分


労災保険の葬祭料等が26年ぶりに引き上げられました
労災保険の葬祭料等が、2026年4月1日から引き上げられました。 今回見直されたのは、業務災害や通勤災害などにより労働者が亡くなった場合に、葬祭を行う方へ支給される葬祭料、葬祭給付、複数事業労働者葬祭給付です。 これまでの支給額は、31万5,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額でした。 改正後は、この定額部分が33万円になります。 ただし、この額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は、従来どおり給付基礎日額の60日分が支給されます。 今回の引き上げは、平成12年4月1日に31万5,000円となって以来、実に26年ぶりの見直しです。 背景には、葬祭にかかる費用が物価の影響を受けることがあります。 厚生労働省では、消費者物価指数などを踏まえて見直しを行っており、令和6年度のサービス価格の変化率を考慮して、1万5,000円の増額となりました。 金額だけを見ると大きな改正には見えないかもしれません。 しかし、労災で大切な家族を亡くした方にとって、葬祭に関する給付は非常に重要な支えになります。 会社としても、万が一の労災死亡事故が起きた場合には、遺
Takashi Fukunaga
5月22日読了時間: 2分


数字から見える「働き方」とキャリアのこれから
2026年4月から、常時雇用する労働者が101人以上の企業では、女性活躍推進法に基づき「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」を毎年公表することが義務付けられています。 これらの指標は、企業ごとにバラバラな計算ではなく、全国で共通のルールに沿って算出・公表されることになっており、学生や求職者、従業員が、企業の状況を比較しやすくすることがねらいとされています。 公表される「男女間賃金差異」は、直近の事業年度について、全労働者・正規雇用労働者・非正規雇用労働者(パート・有期)の3つの区分ごとに、男女別の平均年間賃金を求め、「女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金×100(%)」で示したものです。 同じ会社でも、正規と非正規、部署や職種の違いなどにより水準は変わりますし、年齢構成や勤続年数の差も数字に影響します。 そのため、「〇%だから良い/悪い」と単純に判断するというより、「どういう構成や働き方の結果としてこの数字になっているのか」を見ることが重要になります。 一方、「女性管理職比率」は、課長級とそれ以上の役職(役員を除く)について、「女性の管理職数÷
Takashi Fukunaga
5月15日読了時間: 3分


不正や不安を一人で抱え込まないための「内部通報」の役割
コンプライアンスやガバナンスという言葉を耳にする機会が増える中で、「職場でおかしいと思うことがあっても、どこまで声を上げてよいのか」「自分が不利益を受けないか心配だ」という声も聞かれます。 現場で起きている不正やルール違反、ハラスメントなどは、最初は小さな違和感や疑問の段階で気づかれることが多く、その段階で会社として把握し、是正につなげられるかどうかが大きな分かれ目になります。 その意味で、内部通報や相談の仕組みは、会社を守るだけでなく、通報する人自身や周囲の従業員を守るための安全弁の役割を持っています。 公益通報者保護法は、法令違反などの問題を通報した人を守るためのルールを定めた法律です。 2026年12月には、体制整備の徹底や保護の範囲拡大、不利益取扱いに対する救済強化などを柱とした改正が施行される予定です。 たとえば、一定規模以上の会社には内部通報の窓口や対応体制を整える義務が課され、その履行を確保するための行政の権限や罰則も強化されます。 また、これまでより広く、会社と業務委託契約を結ぶフリーランスなども保護の対象に含める方向で整理されて
Takashi Fukunaga
5月14日読了時間: 3分


「日本版DBS」と企業が意識しておきたい子どもの安全配慮―教育・保育以外の民間事業者にも関係するポイント―
2026年12月に施行される、いわゆる「日本版DBS」(こども性暴力防止法)は、学校や認可保育所などの教育・保育の場で、児童対象性暴力等を未然に防ぐことを目的とした新しい制度です。 直接の義務の対象は学校設置者や認可保育所等ですが、学習塾・スポーツクラブ・認可外保育施設といった民間事業者も、こども家庭庁の認定を受ければ、同様の枠組みの中で子どもの安全確保に取り組むことが求められるようになります。 この法律のポイントは、「子どもと接する事業者には、採用前・配置前の段階から性暴力のリスクを減らす仕組みづくりを求める」という点にあります。 学校や認可保育所等では、児童生徒と日常的に接する教職員等について、特定の性犯罪に関する前科の有無を確認すること(日本版DBS)が義務付けられ、その結果や勤務状況を踏まえて、必要な配置転換等の措置を講じることになります。 また、得られた情報は極めて機微な個人情報であるため、目的外利用や漏えいを防ぐための厳格な管理もあわせて求められます。 一見すると教育・保育分野に限られたルールのように見えますが、企業側にとっては「子ど
Takashi Fukunaga
5月13日読了時間: 2分


安心して応募できる・受け入れられる採用のために
転職や再就職、副業など、働き方の選択肢が広がる一方で、「求人票の条件と実際が違った」「応募の段階で不快な質問をされた」といった声も少なくありません。 採用の場面は、応募する側にとっても会社側にとっても、これから一緒に働けるかどうかを確かめ合う大切な入り口です。 だからこそ、条件や情報をできるだけ正確に伝え、お互いが納得して選べる状態を整えておくことが重要になります。 求人情報については、賃金や仕事内容、勤務地、勤務時間など、基本的な条件を事実に即して明示することが前提です。 募集を続けている間に、配置や働き方の方針が変わることもありますが、その場合は条件を更新するか、一度情報の提供を止めるなど、「いつ時点の情報なのか」「今も有効な条件なのか」が分かる形にしておくことが求められます。 入社後に「聞いていた内容と違う」と感じると、その後の信頼関係にも影響しますので、採用の段階でできるだけ齟齬を減らしておくことが、結果としてトラブルの防止につながります。 募集・採用の場面では、性別や国籍、障害の有無などを理由とした不当な扱いが禁止されています。...
Takashi Fukunaga
5月12日読了時間: 2分


「人に任せる」ことも大事な安全衛生―注意喚起だけに頼らない職場づくりの視点―
4月からの法改正では、フリーランスや高年齢者、治療と仕事の両立支援など、さまざまなテーマで「安全と健康をどう守るか」が問われるようになってきました。 こうした動きの背景には、働く人の多様化だけでなく、「本人の自己管理や注意力だけに頼るやり方では限界がある」という認識があります。 毎日のように「安全第一」「体調管理を」と声をかけていても、慣れや忙しさの中でヒヤリとする場面が生まれてしまうことは、どの職場にもあるのではないでしょうか。 安全衛生の基本は、個人の注意や根性ではなく、「仕組み」と「分かち合い」です。 たとえば、転倒や腰痛を防ぐには、「気をつけて歩きましょう」ではなく、足元が滑りやすい場所を減らす、重い物を一人で持たなくてよい段取りに変える、無理な姿勢になりやすい作業は高さや向きを調整する、といった工夫が有効です。 暑さ対策でも、「水分をこまめに」と周知するだけでなく、休憩時間の取り方や、誰がどの時間帯にどの作業をするかを、熱中症リスクを見ながら決めていくことが求められます。 また、「人に任せる」「人に頼る」ことを、遠慮せずにできる雰囲気づ
Takashi Fukunaga
5月11日読了時間: 2分


子ども・子育て支援金と「年間収入130万円」の見直し―5月時点で給与・扶養実務をどう整理しておくか―
2026年4月から、「子ども・子育て支援金制度」と「健康保険の被扶養者認定における年間収入の取扱い変更」が同時に動き始めました。 いずれも給与計算・社会保険手続と密接に関わるテーマであり、4月は制度案内とシステム設定に追われたご担当者も多いかと思いますが、5月時点では一度立ち止まり、自社の運用が整理できているかを確認しておくことが重要です。 子ども・子育て支援金制度については、すべての医療保険の加入者から、新たに「支援金」が徴収される仕組みとしてスタートしました。 企業の被用者保険に加入している従業員については、標準報酬月額(賞与時は標準賞与額)に支援金率0.23%(2026年度)を乗じて支援金額を計算し、その半分を従業員負担分として健康保険料・介護保険料と合わせて控除する形となります。 4月分給与から控除が始まっていますので、5月支給分までの段階で、「支援金の控除項目名」「健康保険料との区分表示」「控除額の端数処理ルール」などが社内でブレていないかを確認しておくことが実務上のポイントになります。 一方、健康保険の被扶養者認定については、2026
Takashi Fukunaga
5月8日読了時間: 3分


2026年度の「高年齢者」と「治療と仕事の両立支援」―4月施行分をどう実務に落とし込むか―
2026年4月は、人事・労務の実務に直結する法改正が一斉に施行されました。 その中でも、「高年齢で働き続ける従業員」と「治療と仕事を両立しながら働く従業員」に関する改正は、今後数年を見据えた人員構成や人件費、配置運用に影響しうるテーマです。 2025年4月に高年齢者雇用安定法や高年齢雇用継続給付の見直しが既に行われていることを踏まえると、2026年4月の改正は、「就業継続」が当たり前になっていく時代において、安全衛生と健康確保を中心に職場側の対応を求める第二段階とも位置付けられます。 まず、高年齢労働者に関する改正として、「在職老齢年金の支給停止基準額の引上げ」と「高年齢者の労働災害防止の推進」が同時にスタートしています。 在職老齢年金については、老齢厚生年金の支給停止となる収入基準である「支給停止調整額」が、2025年度の51万円から2026年4月以降は65万円へと大きく引き上げられました。 これにより、賃金と年金を合算した月額が65万円を超えない限り、老齢厚生年金が支給停止されないため、60歳代以降も比較的高い水準で働き続けることへの心理的ハ
Takashi Fukunaga
5月7日読了時間: 5分


「障害者雇用」と2026年7月の法定雇用率引上げ―従業員37.5人以上企業がいま確認しておきたい基礎整理―
2026年7月1日から、民間企業の障害者法定雇用率が「2.5% → 2.7%」へ引き上げられます。 これに伴い、障害者雇用の義務対象となる企業の範囲も「常用雇用40.0人以上」から「37.5人以上」に拡大されます。 人事・労務担当者としては、とりわけ「従業員数が40人未満だが37.5人前後」という企業では、自社が新たに義務対象となるかどうかを早めに確認しておくことが重要です。 支店・営業所を含めた全社の常用雇用労働者数(週30時間以上は1人換算、週20〜30時間未満は0.5人換算)が37.5人以上となる場合、2026年7月以降は障害者の雇用義務が発生します。 法定雇用率引上げ後の「雇用義務人数」は、次の計算式で求めます。 障害者の雇用義務人数 = 常用雇用労働者数 × 2.7%(2026年7月以降) 小数点以下は切り捨てとなりますので、従業員規模によっては、1名または2名の雇用義務が新たに生じるケースもあります。 まずは、最新の人員データを用いたシミュレーションにより、「現状の雇用率」と「不足人数(義務人数 − 現在雇用している障害者数)」を把握
Takashi Fukunaga
5月1日読了時間: 3分


「個人事業者等の安全衛生」と化学物質対策の改正―元方事業者・発注者として押さえておきたい実務上の整理―
2026年4月は、子ども・子育て支援金制度や治療と仕事の両立支援、高年齢労働者の労災防止といったテーマに加え、「個人事業者等の安全衛生対策」や「化学物質による健康障害防止」が本格的に動き出したタイミングでもあります。 とりわけ、建設・製造・物流・設備保守など、多数の個人事業者や下請事業者が出入りする職場では、元方事業者や発注者としての責任範囲が広がっている点を、あらためて整理しておく必要があります。 まず、個人事業者等の安全衛生対策については、2025年5月14日の改正により、「注文者等の配慮義務」がすでに施行されています。 建設工事に限らず、仕事を他社や個人事業者に請け負わせる発注者は、施工方法・作業方法・工期・納期などについて、災害防止の観点から無理な条件を付さないよう配慮することが法的に求められるようになりました。 いわゆる短納期発注や、直前の仕様変更を前提とした発注慣行が、下請先やフリーランスの長時間労働・安全確保の困難さにつながりかねない点が、改めて明確化された形です。 これに続き、2026年4月1日からは、「混在作業場所における元方事
Takashi Fukunaga
4月30日読了時間: 4分


2026年度「実務カレンダー」と法改正をどう結びつけるか―単発対応から「年間スケジュール管理」への視点転換―
2026年4月は、「子ども・子育て支援金制度」「治療と仕事の両立支援」「高年齢労働者の労災防止」「女性活躍推進法の情報公表義務拡大」など、数多くの改正が同時に動き出した節目の月です。 一方で、人事・労務担当者の年間業務を眺めると、1月の法定調書・給与支払報告書、6月の労働保険年度更新、7月の算定基礎届、10月の最低賃金改定といった「毎年必ず発生する事務」があり、これらと法改正対応が重なることで、現場に大きな負荷がかかりやすい構造になっています。 2026年度は、4月1日施行の改正として、子ども・子育て支援金の控除設定・案内、高年齢労働者の労災防止や治療と仕事の両立支援の努力義務化、健康保険の被扶養者認定における「年間収入」判断の運用変更、女性活躍推進法に基づく情報公表の必須項目拡大などが同時にスタートしています。 これに加えて、7月には障害者雇用率の引上げ、10月には短時間労働者の社会保険適用拡大に関連する保険料負担調整措置やカスタマーハラスメント防止措置の義務化など、年度後半にも対応事項が控えています。 こうした中で、人事・労務担当者として意識
Takashi Fukunaga
4月28日読了時間: 4分


2025年「育児・介護改正」をどう整理するか―10月施行分も見据えた、いま押さえておきたい全体像―
2025年度は、育児・介護休業法や雇用保険法、高年齢者雇用安定法など、仕事と子育て・介護の両立や高年齢者雇用に関する改正が集中的に行われた年度でした。 2026年4月は、子ども・子育て支援金制度や治療と仕事の両立支援の努力義務化など新たなテーマへの対応に追われる一方で、「2025年改正分」についても、すでに施行済みの内容と、2025年10月施行予定の内容をあらためて整理しておくタイミングと言えます。 まず、2025年4月1日施行分としては、「育児」「介護」「高年齢者雇用」の三つの軸で押さえておくと整理しやすくなります。 育児分野では、子の看護休暇が「子の看護等休暇」として拡充され、対象年齢が小学校3年生修了まで引き上げられるとともに、感染症による学級閉鎖や入園式・入学式等への出席といった取得事由が明確化されました。 また、所定外労働の制限(いわゆる残業免除)の対象が小学校就学前までに拡大されており、「3歳未満までは残業免除、3歳以上は通常どおり」という従来の前提は見直しが必要となっています。 さらに、3歳未満の子を養育する従業員向けの育児短時間勤
Takashi Fukunaga
4月27日読了時間: 4分
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