top of page

news


正社員転換制度を形骸化させないために――意向確認・配慮が求められる時代へ
同一労働同一賃金をめぐる議論が続く中で、足元では「賃金差そのものを一律に揃える」方向の議論だけでなく、非正規雇用で働く人のキャリア形成をどう後押しするかに、政策の重心が移りつつあります。 その象徴の一つが、正社員転換の推進に関する運用の明確化です。 パートタイム・有期雇用労働法では、事業主に対し、短時間・有期雇用労働者について正社員転換を推進するための措置を講ずることを求めています。 そして近時の審議会資料では、こうした措置を講ずるに当たり、面談等を通じて本人の意向を確認し、その意向に配慮することを、指針等でより明確に示していくことが適当だと整理されています。 これまでの実務でも、制度として「転換の道筋」を置いている企業は少なくありませんでした。 ただ、制度があっても、本人が情報に触れにくい、希望を言い出しにくい、何を準備すればよいか分からないといった理由で、転換が現実の選択肢になっていないケースもあります。 意向確認や配慮がより重視される方向になれば、企業側には、制度を置くだけでなく、本人が判断できる材料を示し、希望がある場合の進め方を丁寧に設
Takashi Fukunaga
1 日前読了時間: 2分


同一労働同一賃金の次の一手――待遇差の理由を伝える時代へ
同一労働同一賃金をめぐる議論は、長年の大きなテーマです。 一方で、2026年に向けた最近の動きは、法律を大きく組み替えるよりも、まずは現場の「見える化」を進める方向に重心が置かれているようです。 その一つが、雇い入れ時に交付する労働条件通知書などの「労働条件の明示」に関する見直しです。 報道などによれば、非正規で働く人が、正社員との待遇の違いなどについて「説明を求めることができる」ことを、雇い入れ時に分かる形で示す取扱いが検討されています。 これまでのルールでも、非正規で働く人から求めがあれば、会社は待遇差の理由などを説明する義務があるとされてきました。 ただ現実には、説明を求めること自体に心理的なハードルがあり、制度が十分に機能しにくい場面もありました。 雇い入れの段階で「説明を求められること」自体が明示されると、働く側は、後から聞いてもよいのだと分かりやすくなります。 会社側にとっても、待遇の違いがあるなら、何をどう説明するのかを事前に整理しておく必要が高まり、結果として、賃金や手当の考え方の透明性が上がりやすくなります。...
Takashi Fukunaga
2 日前読了時間: 2分


受動喫煙対策は次の段階へ――「屋内禁煙」が当たり前になった今、見直しで何が話題になるのか
2020年4月から、改正健康増進法のルールが本格的に動き出し、職場や飲食店を含めて「建物の中は原則禁煙」という考え方が広がりました。 その結果、以前よりもたばこの煙に困る場面は減り、屋内では禁煙が当たり前、という空気が定着してきたといえます。 一方で、この法律は「施行から5年ほど経ったら、状況を見て必要があれば見直す」という考え方も前提にしています。 ちょうどその節目に差しかかっているため、これまでの成果を確認しつつ、残っている課題をどうするかが話題になりやすい時期に入っています。 まず大きな話題になりやすいのが、小さな飲食店の例外扱いです。 現在の制度では、一定の条件を満たす“既に営業している小規模な店”については、手続きをすれば店内で喫煙できる形を選べる場合があります。 ただ、そこで働く人の立場から見ると「小さなお店でも、職場で煙を吸わされることになるのはどうなのか」という問題が残ります。 一方で、急に全面禁煙になると経営への影響が出るという声もあり、今後の見直しの場面で意見が割れやすいところです。 次に論点になりやすいのが、加熱式たばこの扱
Takashi Fukunaga
5 日前読了時間: 2分


精神障害の労災認定「再審査で支給へ」――基準見直しが示した救済の広がり
仕事が原因で心の健康を損なったとき、その負担が業務によるものだと社会的に認めてもらう「労災認定」は、当事者や家族にとって極めて重要な制度です。 一方で、精神障害の労災は事実関係の整理や評価が難しく、申請しても不支給となるケースがあるのも現実です。 そうした中で注目されたのが、厚生労働省が、認定基準の見直しを踏まえて過去の不支給事案を再点検し、結果として93件を「支給」へ変更したとする公表です。 根拠となるのは、厚生労働省 労働基準局 労災管理課が2024年(令和6年)4月16日に公表した「精神障害等の労災認定基準の改正に伴う審査請求事案等の取扱いについて(結果報告)」です。 この動きの背景には、2023年(令和5年)9月に行われた「精神障害の労災認定基準」の見直しがあります。 見直しでは、現代の職場で起こり得る出来事をより具体的に捉え、出来事が重なった場合の負担の評価などについて、実態に沿う形へ整えていく方向性が示されました。 その結果、従前の基準で整理された事案の中に、見直し後の考え方で評価し直す必要があるものが生じ得るため、再審査(再点検)が
Takashi Fukunaga
6 日前読了時間: 2分


倒産時の「未払い賃金」を早く・確実に――立替払手続の負担軽減へ
会社の倒産という厳しい局面で、未払いとなった賃金は生活に直結する問題です。 こうしたときの救済策として、一定の要件のもとで国が未払い賃金の一部を立て替えて支払う「未払い賃金立替払制度」がありますが、申請手続が負担になりやすい点は長く課題とされてきました。 この点について、制度運用を支える省令の整備が進み、提出書類の取扱いや電子的な手続に関するルールが見直されています。 具体的には、請求に際して添付が想定される書類について、労働者健康安全機構が不要と認める場合には添付を求めない取扱いを設けるなど、必要な範囲に絞った確認へと整理していく方向が示されています。 また、情報通信技術を活用した提出手続に関しても、書類作成・提出の場面で実務が滞らないよう、電子手続の取扱いを明確化する整備が進められています。 申請者側としては、手続の入口での差し戻しや追加確認が減るほど、生活再建に向けた時間を確保しやすくなります。 もちろん、制度の性質上、事案によっては事実確認のために追加資料が求められることはあり得ます。 ただ、確認のための手続負担を必要以上に重くしない方向
Takashi Fukunaga
2月4日読了時間: 2分


カスハラ対策の新局面――従業員を守る組織の責任が明確に
サービス業界を中心に長年の課題となってきたカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」への対策が、いよいよ制度として大きく動きます。 近年の法改正により、企業に対してカスハラ防止のための「雇用管理上必要な措置」を求める枠組みが整備され、施行日は「公布の日から起算して1年6か月以内で政令で定める日」とされています。 審議会資料などでは、施行期日を2026年10月1日とする方向(政令案・予定)も示されており、企業側の準備が実質的に求められる局面に入っています。 施行に向けて企業に求められるのは、現場任せや個人の我慢に依存しない体制づくりです。 まず重要なのは、社内で「カスハラに当たり得る行為」を整理し、相談があったときに受け止められる窓口や報告ルートを整えることです。 あわせて、現場が迷わないように、対応の基本方針や記録の取り方、エスカレーション(上長・本部・外部機関)基準を含む運用ルールを用意しておく必要があります。 また、被害を受けた従業員のケアも欠かせません。 相談後のフォロー、配置や勤務の調整、必要に応じた産業保健スタッフとの連携など、心身の
Takashi Fukunaga
2月3日読了時間: 2分


健康保険証の有効期限が過ぎていたら?移行期の受診ルールと2026年春までの備え
2024年12月に従来の健康保険証の新規発行が停止されてから、マイナ保険証への移行が本格化しています。 その一方で、保険証の有効期限が到来しているのを見て「もう使えないのでは」と不安になる場面も増えています。 まず基本ルールとして、従来の健康保険証は「新規発行が止まった=直ちに使えなくなる」ではなく、有効期限まで使用できます。 また、従来の保険証の有効期限は最長でも2025年12月1日までと整理されています。 2025年12月2日以降は、原則としてマイナ保険証または資格確認書で受診する運用へ移行します。 次に誤解が起きやすいのが「2026年3月末まで」という話です。 これは、有効期限が過ぎた保険証が“有効な証票として復活する”という意味ではありません。 移行期の混乱を避けるため、たとえば有効期限が過ぎた保険証等を持参してしまった場合でも、医療機関側がオンライン資格確認などで保険資格を確認できたときは、窓口でいきなり10割負担を求めるのではなく、通常の自己負担割合(3割など)で受診・請求してよい、という暫定的な取扱いが示されています。...
Takashi Fukunaga
2月2日読了時間: 2分


2026年4月から扶養判定が変わる――「年収の壁」は“振込額”より「契約内容」へ
「年収の壁」を気にして働く時間をセーブせざるを得ない状況は、多くのパートタイム労働者やその家族にとって長年の悩みでした。 この点に関し、健康保険の被扶養者認定における収入確認の考え方について、2026年4月1日以降、労働契約等に基づく「今後の収入見込み」をより重視する取扱いが示されています。 これまでの実務では、月々の給与が変動する場合、直近の支給実績や勤務状況をもとに「このままのペースで働くと年収130万円を超えそうか」を見立てることが多く、繁忙期の残業や突発的な手当で一時的に収入が増えるだけでも、扶養の見直しを心配する場面がありました。 その結果として、基準を超えないように働き控えが起きやすい、という課題が指摘されてきました。 2026年4月1日以降の取扱いでは、給与収入のみの方について、労働条件通知書や雇用契約書など「労働契約等から見込まれる賃金」を基礎に、今後1年間の収入見込みを判断する考え方が明確にされています。 ここでいう「見込まれる賃金」は、基本給や定例的な手当を中心に捉え、時間外手当などは原則として年収見込みに含めない扱いとされて
Takashi Fukunaga
1月30日読了時間: 3分


在職老齢年金の「壁」が緩和へ――令和8年4月から支給停止の基準額が引き上げに
少子高齢化が進み、長年培った経験や知識を持つベテラン層の活躍がこれまで以上に期待される中、働くシニア世代の背中を後押しする制度見直しが予定されています。 それが、在職老齢年金における支給停止の調整基準(いわゆる支給停止調整額)の引き上げです。 在職老齢年金は、老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金の被保険者として働く場合に、一定の条件下で老齢厚生年金(主に報酬比例部分)が減額される仕組みです。 これまでは、賃金と老齢厚生年金の合計が一定額を超えると年金が調整されるため、あえて働く時間を抑えたり、収入を調整したりするケースが起こりやすい構造がありました。 今回の見直しは、こうした「損をしないための就業調整」を緩和し、高齢者の就業継続を後押しする趣旨と整理できます。 見直しのポイントは、年金の支給停止が生じる“起点”となる基準額が引き上げられることです。 日本年金機構および厚生労働省の資料では、令和8年4月から、賃金と老齢厚生年金の合計による基準額が「月51万円」から「月62万円」に引き上げられることが示されています。 ただし、この基準額は賃金の動向等
Takashi Fukunaga
1月29日読了時間: 3分


裁量労働制を「希望」する人は3割超――いま問われるのは制度拡大ではなく運用の質
経団連が2025年11月に実施・公表した「ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果」では、現在裁量労働制が適用されていない労働者のうち33.0%が「適用を希望する」と回答したとされています。 この結果は、画一的な時間管理よりも、自分の裁量で仕事の進め方や時間配分を組み立てたいというニーズが、一定の厚みを持って存在していることを示唆します。 ただし、ここで押さえておきたいのは、裁量労働制は「成果で報酬が決まる制度」そのものではない、という点です。 裁量労働制は、一定の要件を満たす業務について、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定めた「みなし労働時間」を働いたものとして扱う仕組みです。 成果で評価するかどうかは、制度の適用そのものより、企業側の評価制度や賃金制度の設計に大きく左右されます。 それでも、制度への関心が高まる背景には、働き方の環境変化があります。 テレワークやデジタルツールの普及により、場所や時間に縛られずに成果を出せる仕事が増えました。 特に専門職や企画・クリエイティブ領域では、集中できる時間帯に集中的に働く方が、
Takashi Fukunaga
1月28日読了時間: 3分


治療と仕事の両立支援が当たり前になる職場へ――企業が押さえたい実務の要点
医療技術の進歩により、かつては長期入院や離職を余儀なくされた病気であっても、通院しながら仕事を続けられるケースが増えています。 こうした変化を受けて、治療を継続しながら働く人を職場で支える「治療と就業の両立支援」は、企業にとって重要度を増しています。 制度面でも、両立支援に関する取組を進めることが企業に求められる流れが明確になっており、単なる福利厚生というより、人材の確保・定着やリスク管理の観点からも見過ごせないテーマになっています。 両立支援の対象は、がん、心臓病、糖尿病といった継続的な治療が必要な疾病に限りません。 治療の内容や体調の波、副作用の有無、通院頻度は人によって大きく異なります。 そのため「特定の制度を一律に整えればよい」というよりも、本人の状態と業務内容に応じて、現実的な働き方を組み立てる姿勢が重要です。 企業が取り組みやすい対応としては、柔軟な働き方の選択肢を増やすことが挙げられます。 たとえば、半日・時間単位で休みを取りやすくする運用、時差出勤、短時間勤務、在宅勤務やテレワーク、通院日に合わせたシフト調整などです。...
Takashi Fukunaga
1月27日読了時間: 3分


無人運転時代の労災防止――建設・港湾の現場で求められる新しい安全ルール
深刻な人手不足を背景に、建設現場や港湾などで機械の無人運転に向けた取り組みが進む中、厚生労働省は、こうした動きを踏まえた安全確保の考え方や必要な措置を整理するため、専門家による検討の場を設け、議論を進めています。 検討は2025年から始まり、2026年に入っても継続しています。 これまでの労働安全衛生法に基づく安全対策は、人が機械を操作することや、柵などによって人と機械を物理的に隔てることを基本に組み立てられてきました。 しかし、無人運転を前提とした機械が現場で稼働するようになると、従来の「隔離」という考え方だけでは整理しきれないリスクが生じ得ます。 たとえば、立ち入り管理の方法、機械の動作範囲の設定、異常時の停止や退避の仕組みなど、運用面を含めて再点検が必要になります。 検討で焦点となるのは、無人運転の機械が現場で動くことを前提に、どのような安全機能と管理ルールを組み合わせれば、労働災害のリスクを実効的に下げられるかという点です。 機械が周囲の状況を検知し、必要に応じて停止したり回避したりする仕組みを備えていても、センサーの精度や検知範囲、故障
Takashi Fukunaga
1月26日読了時間: 2分


「子ども・子育て支援金」徴収開始へ――家計にどう影響するか、押さえておきたい見通し
少子化対策の強化を目的とする「子ども・子育て支援金」について、2026年度から公的医療保険の仕組みを通じて負担を求める制度が始まる見込みです。 子育て世帯に限らず、独身の方や高齢者の方を含め、公的医療保険の加入者が広く負担を分かち合う「社会連帯」の考え方に立つ仕組みとされています。 徴収は、健康保険料や国民健康保険料などに上乗せされる形になるとされており、被用者保険(会社員の健康保険など)では、通常の保険料のタイミングから考えると、2026年4月分の保険料が給与から控除される場合、実感としては5月支給の給与明細で変化を見やすい可能性があります。 一方で、国民健康保険や後期高齢者医療については、保険料(または保険料に準ずる負担)の賦課・徴収の時期が自治体や広域連合の運用により異なることもあるため、実際の反映時期はお住まいの地域の通知で確認するのが確実です。 制度は段階的に拡大していく構想が示されており、初年度は総額で約6,000億円規模から始まり、数年かけて1兆円規模へ広がる見通しが語られています。 このため、家計への影響も「ある年に急に大きく増え
Takashi Fukunaga
1月23日読了時間: 3分


年金分割の請求期限見直しで変わる離婚後の備え――「2年の壁」と手続きの注意点
離婚後の生活設計において、将来受け取る公的年金の額を左右する「年金分割」は重要な手続きです。 これまでは「離婚した日の翌日から2年以内」という請求期限が大きな壁になってきました。 一方で近年、この期限を「2年から5年へ延長する」方向で制度の見直しが進められており、運用面でも救済機能を強める流れが示されています。 離婚直後という時期は、住居の確保や仕事の再編、子どもの手続きなど、目先の生活を立て直すだけで精一杯になりがちです。 心身ともに疲弊している中で、年金事務所へ足を運び、必要書類を揃えて手続きを行うのは決して容易ではありません。 従来の短い期限では、正当な権利があっても、気づいたときには間に合わなかったというケースが生じ得ました。 期限が5年へ延びるとされることで、生活が落ち着き、将来の老後資金について冷静に考えられるようになってからでも、手続きに臨みやすくなることが期待されます。 この見直しの根底には、婚姻期間中の保険料の負担や生活の営みが、夫婦の共同の成果として捉えられるべきだという考え方があります。 特に、専業主婦(主夫)やパート労働な
Takashi Fukunaga
1月22日読了時間: 2分


原電子会社の過労自死提訴が問うもの――インフラ現場の長時間労働と安全配慮義務
2025年8月、日本原子力発電の子会社に勤務していた50代の男性社員の遺族が、過重労働と職場での不適切な対応が原因で男性が自死に追い込まれたとして、会社側を提訴した事案は、インフラ業界における労働環境の厳しさを浮き彫りにしています。 報道によれば、男性は子会社の東海支社に所属し、放射性廃棄物の処理業務の現場責任者として業務に従事していたとされています。 遺族側の主張(訴状等に基づく報道)では、男性は休日出勤を含む連続勤務が続き、2020年2月には12日間の連続勤務があったほか、翌3月にかけて1か月80時間を超える時間外労働があったとされています。 長時間労働が続けば、休息が奪われるだけでなく、判断力や回復力が低下し、精神的な不調を招くリスクが高まります。 この事案では、過重労働に加えて、職場での人間関係の悪化が大きな要素として指摘されています。 遺族側は、上司とのトラブルや不適切な言動があったことも含め、心理的負担が増大していったと主張しています。 長時間労働の下では、通常なら周囲に相談できる状況でも、疲労と孤立感が重なり、助けを求める行動そのも
Takashi Fukunaga
1月21日読了時間: 2分


自爆営業はパワハラになり得る――指針見直しで問われるノルマ管理のあり方
職場におけるパワーハラスメントの考え方は、時代の変化とともに、より明確で厳格な運用へと向かっています。 厚生労働省はパワハラ防止指針の見直しにあたり、従業員がノルマ達成などのために自社の製品やサービスを不本意に買い取らされる、いわゆる「自爆営業」について、一定の要件を満たす場合にパワーハラスメントに該当し得る行為として位置づける改正案を示しています。 自爆営業が指針上の整理として明確になることで、「個人の自発的な協力」と「組織による不当な圧力」の線引きを、より具体的に考える材料が増えることになります。 自爆営業は、古くから小売、郵便、保険など一部の業界で、半ば慣習のように見過ごされてきた側面があります。 しかし、自分の給与を削ってまで自社製品を購入し、見かけ上の売上を作る行為は、本来の健全な経済活動とはかけ離れています。 こうした不健全なノルマ管理が、生活を圧迫し、精神的な健康を損ない得る問題であることを、職場のハラスメントという観点から整理し直す動きが進んでいると言えます。 もっとも、指針に明記されるからといって、自爆営業に関するすべての場面が
Takashi Fukunaga
1月20日読了時間: 3分


国保の納付状況が在留審査へ――2027年開始に向けた「見える化」と実務の注意点
日本で暮らす外国人住民の方々にとって、在留資格の維持は生活の根幹に関わる最優先事項です。 その在留審査に関して、国民健康保険(国保)の保険料の納付状況を、更新や変更の審査で活用していく仕組みづくりが進められています。 これまで国保の納付情報は自治体ごとに管理され、入管の審査と直結しにくい面がありました。 今後は、システム改修を通じて、国保の収納情報等を入管庁に連携し、在留審査時に活用できるようにする方針が示されています。 開始時期としては、令和9年6月(2027年6月)からの運用開始に向けて準備が進んでいる、という整理です。 あわせて、納付を求める動きはすでに前倒しで進みつつあります。 報道では、海外からの転入者を対象に、自治体の判断で最大1年分の保険料を一括で前払いしてもらう仕組みを、2026年4月から導入可能とする方向が伝えられています。 この方針の背景には、持続可能な社会保障制度の維持と、日本人を含めた全ての住民の間での公平性を確保するという目的があります。 国保の保険料を納めないまま在留を続ける、あるいは納付の働きかけに応じない場合に、在
Takashi Fukunaga
1月19日読了時間: 2分


法定休日の「特定」で変わる実務――割増賃金と勤怠運用のリスクを減らす
労働環境の透明化が進む中で、法定休日をあらかじめ「特定」しておくべきだという方向性が強まっていることは、一見すると事務的な話に見えますが、実は現場の働き方や給与計算に直結する重要な論点です。 現在、多くの企業では週休2日制が定着していますが、法律で定められた「週に1日」の法定休日が具体的にどの日を指すのかを、就業規則等で明確に定めていないケースも少なくありません。 土曜日と日曜日のどちらが法定休日なのかが曖昧なままだと、休日出勤が発生した際の割増賃金の判断や勤怠処理が複雑になり、意図しない未払い賃金や運用トラブルにつながりやすい、という背景があります。 法定休日をあらかじめ特定しておく最大のメリットは、労使双方にとっての「予測可能性」が高まることです。 労働基準法では、法定休日に労働させた場合、35%以上の割増賃金を支払う必要があります。 そのため、どの日が法定休日なのかが明確であれば、休日労働の割増判断や給与計算のミスを未然に防ぎやすくなります。 また、働く側にとっても、自分の休日がどのように扱われるのかが明確になり、権利関係の見通しが立ちやす
Takashi Fukunaga
1月16日読了時間: 3分


無形資産への投資で実現する「スマートな生産性向上」
労働生産性の向上と聞くと、つい国全体の経済指標や国際競争力といった大きな話を連想しがちですが、その本質はもっと身近な、日々の仕事の進め方や職場の環境の中にあります。 今の時代、単に働く時間を長くしたり、人手を増やしたりするだけでは、生み出せる付加価値には限界が見えています。 そこで重要になるのが、工場や機械といった目に見える設備ではなく、目に見えない「無形資産」への投資です。 無形資産には研究開発やブランド、知的財産など幅広い要素が含まれますが、ここでは特に、従業員一人ひとりのスキルアップや、日常的に使うソフトウェアの使い勝手、そして社内の風通しの良さや情報共有の仕組みといった、現場の「地力」を底上げする取り組みを指します。 例えば、最新のデジタルツールを導入したとしても、それを使いこなすための教育や、今の業務フローに合わせた細かな調整を怠れば、宝の持ち腐れになってしまいます。 ツールという形あるもの以上に、それを活用する人の習熟度や、無駄な手続きを省くための組織的な工夫といった目に見えない資産こそが、実質的な生産性を左右するのです。...
Takashi Fukunaga
1月15日読了時間: 3分


多様化する働き方に応える――2026年の雇用管理は「柔軟性」が鍵
2026年を迎え、私たちの働く環境はかつてないほどのスピードで変化を続けています。 かつてのような画一的なキャリア観は薄れ、一人ひとりが自身のライフスタイルや価値観、そして人生のステージに合わせて働き方を選択する流れが一層強まっています。 労働力不足が慢性化する中で、企業が持続的に成長していくためには、こうした多様化する就業意識を正しく理解し、それに応えるための柔軟な雇用管理を構築することが、重要な経営課題となっています。 現代の働く人々が求める「働きやすさ」の中身は、多層的です。 育児や介護といった家庭の事情との両立はもちろんのこと、副業を通じた自己実現や、リスキリングのための時間の確保、あるいは自身のメンタルヘルスや体調に合わせた緩やかな働き方など、そのニーズは多岐にわたります。 これまでの「決まった時間に、決まった場所へ集まる」という固定的な労働モデルだけでは、採用競争上不利になりやすく、定着の面でも課題が生じやすいのが実情です。 こうした状況下で企業に求められるのは、従来の就業規則の枠組みを超えた、一人ひとりに寄り添う制度設計です。...
Takashi Fukunaga
1月14日読了時間: 3分
bottom of page