裁量労働制を「希望」する人は3割超――いま問われるのは制度拡大ではなく運用の質
- Takashi Fukunaga
- 6 日前
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経団連が2025年11月に実施・公表した「ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果」では、現在裁量労働制が適用されていない労働者のうち33.0%が「適用を希望する」と回答したとされています。
この結果は、画一的な時間管理よりも、自分の裁量で仕事の進め方や時間配分を組み立てたいというニーズが、一定の厚みを持って存在していることを示唆します。
ただし、ここで押さえておきたいのは、裁量労働制は「成果で報酬が決まる制度」そのものではない、という点です。
裁量労働制は、一定の要件を満たす業務について、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定めた「みなし労働時間」を働いたものとして扱う仕組みです。
成果で評価するかどうかは、制度の適用そのものより、企業側の評価制度や賃金制度の設計に大きく左右されます。
それでも、制度への関心が高まる背景には、働き方の環境変化があります。
テレワークやデジタルツールの普及により、場所や時間に縛られずに成果を出せる仕事が増えました。
特に専門職や企画・クリエイティブ領域では、集中できる時間帯に集中的に働く方が、効率も成果も上がる場面があります。
「時間に合わせて働く」のではなく、「成果に向けて時間を設計する」という働き方への志向が、制度への関心として表れていると捉えることができます。
一方で、裁量労働制は導入すれば自動的に“自由な働き方”が実現するものでもありません。
制度が形だけ先行し、現場では過大な業務量や曖昧な期待が残ったままだと、本人の裁量は名ばかりになり、長時間労働が見えにくくなる危険があります。
だからこそ、制度の導入や運用にあたっては、本人の同意を丁寧に扱い、健康確保のために勤務状況を把握し、必要な措置につなげることが欠かせません。
「希望している人がいる」ことと、「どの職場でも広げてよい」ことは別問題であり、制度に合う業務・合わない業務を見極める視点が必要です。
また、制度への期待の中身も誤解しないことが大切です。
裁量労働制を希望する人の多くは、無制限に働きたいわけではなく、「効率よく働いて、自分の時間を守りたい」という意図を持っています。
この期待に応えるには、目標設定を曖昧にせず、業務量の見積もりや優先順位づけを上司と共有し、無理が生じたときに軌道修正できるマネジメントが不可欠です。
制度を支えるのは“自由”ではなく、“透明な運用”と“対話の質”だと言えます。
結局のところ、裁量労働制への関心の高まりは、働く人が「仕事の主導権を握り、納得感のある形で働きたい」と考えていることの表れです。
企業にとっては、制度の是非を論じるだけでなく、どの業務にどの管理手法が最適なのか、健康確保と成果の両立をどう設計するのかを再点検する契機になります。
時間で縛るか、裁量に任せるかという二択ではなく、仕事の性質に合った管理と、信頼できる運用を積み上げることが、これからの働き方の鍵になるでしょう。

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