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カスハラ対策の新局面――従業員を守る組織の責任が明確に

  • Takashi Fukunaga
  • 13 分前
  • 読了時間: 2分

サービス業界を中心に長年の課題となってきたカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」への対策が、いよいよ制度として大きく動きます。

近年の法改正により、企業に対してカスハラ防止のための「雇用管理上必要な措置」を求める枠組みが整備され、施行日は「公布の日から起算して1年6か月以内で政令で定める日」とされています。

審議会資料などでは、施行期日を2026年10月1日とする方向(政令案・予定)も示されており、企業側の準備が実質的に求められる局面に入っています。


施行に向けて企業に求められるのは、現場任せや個人の我慢に依存しない体制づくりです。

まず重要なのは、社内で「カスハラに当たり得る行為」を整理し、相談があったときに受け止められる窓口や報告ルートを整えることです。

あわせて、現場が迷わないように、対応の基本方針や記録の取り方、エスカレーション(上長・本部・外部機関)基準を含む運用ルールを用意しておく必要があります。


また、被害を受けた従業員のケアも欠かせません。

相談後のフォロー、配置や勤務の調整、必要に応じた産業保健スタッフとの連携など、心身の負担を軽減する実務設計が、結果として離職防止や採用競争力の維持につながります。

悪質事案では、組織として毅然と対応する姿勢を示し、状況に応じて警察・弁護士等との連携も検討できる体制にしておくことが現実的です。


一方で、この動きは消費者側にも「何が許され、何が許されないか」を共有していく転換点になります。

苦情や要望の表明自体は否定されるものではありませんが、暴言・威圧・過度な拘束・不当要求などが常態化すれば、サービスの担い手が疲弊し、最終的に提供品質も維持できなくなります。

企業がカスハラに線引きをし、従業員を守る仕組みを整えることは、長期的には良識ある顧客にとっても安心できるサービス環境をつくることに直結します。


施行までの期間は、形式的にマニュアルを作って終わりにするには短いものです。

制度の趣旨を社内に浸透させ、相談が上がったときに実際に機能する運用を回せるかが問われます。

カスハラ対策は、売上だけでなく、そこで働く人を守りながら事業を継続するための土台として、これからの企業運営に欠かせないテーマになっていくでしょう。

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