「130万円の壁」事業主証明の特例が恒久化へ――被扶養者認定の実務で押さえるポイント
- Takashi Fukunaga
- 1月7日
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健康保険の被扶養者認定において、パートタイム労働者などが直面しやすい「年収130万円の壁」への対応として運用されてきた「事業主証明による特例措置」について、厚生労働省は恒久的な取扱いとする旨を示しました。
この特例は、人手不足への対応などにより一時的に収入が増え、扶養認定の収入基準(原則130万円未満、60歳以上等は180万円未満)を上回る見込みとなった場合でも、その増額が一時的な事情によるものだと事業主が証明できるときは、直ちに被扶養者認定を外すのではなく、保険者が事情を踏まえて扶養継続を判断し得る、という考え方です。
ここで大切なのは、「事業主が証明すれば必ず扶養が維持できる」という仕組みではない点です。
実務上は、事業主証明に加え、雇用契約書や賃金台帳などの資料も踏まえ、保険者が“本当に一時的か”を確認して総合判断する建付けです。
また、運用ルールとしてよく参照されるのが「連続2回まで」という上限です。
同一の方について、事業主証明によって一時的な収入変動であることを確認する取扱いは、原則として連続2回までとされています。
収入確認を年1回行う運用であれば、感覚としては「連続する2年間まで」が目安になります。
一方で、この特例は「130万円(180万円)の基準そのものを撤廃する」ものではありません。
たとえば、基本給(時給)そのものが上がった、恒常的に労働時間が増えた、恒常的な手当が新設された、といった事情で、今後も継続して基準超過が見込まれる場合は、従来どおり被扶養者から外れる方向での整理が基本になります。
あわせて実務上の補足として、2025年10月1日以降、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)の年間収入要件は「150万円未満」とする取扱いが示されています。
一般的な130万円基準と併せて、年齢層によって基準が異なる点は、社内案内の際に誤解が出やすいため注意が必要です。
今後、短時間労働者の社会保険適用の拡大など、制度全体の見直しも進んでいく可能性があります。
その中でも、この特例は「就業調整を減らしつつ、実務の混乱を抑える」ための安全弁として、現場で使い続けられる前提になりました。
企業としては、扶養を維持するための手段としてだけでなく、収入見込みの説明や根拠資料の整備、本人への丁寧な情報提供まで含めて、透明性の高い運用体制を整えることが、働く人の安心と実務負担の軽減の両方につながっていきます。

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