無人運転時代の労災防止――建設・港湾の現場で求められる新しい安全ルール
- Takashi Fukunaga
- 1月26日
- 読了時間: 2分
深刻な人手不足を背景に、建設現場や港湾などで機械の無人運転に向けた取り組みが進む中、厚生労働省は、こうした動きを踏まえた安全確保の考え方や必要な措置を整理するため、専門家による検討の場を設け、議論を進めています。
検討は2025年から始まり、2026年に入っても継続しています。
これまでの労働安全衛生法に基づく安全対策は、人が機械を操作することや、柵などによって人と機械を物理的に隔てることを基本に組み立てられてきました。
しかし、無人運転を前提とした機械が現場で稼働するようになると、従来の「隔離」という考え方だけでは整理しきれないリスクが生じ得ます。
たとえば、立ち入り管理の方法、機械の動作範囲の設定、異常時の停止や退避の仕組みなど、運用面を含めて再点検が必要になります。
検討で焦点となるのは、無人運転の機械が現場で動くことを前提に、どのような安全機能と管理ルールを組み合わせれば、労働災害のリスクを実効的に下げられるかという点です。
機械が周囲の状況を検知し、必要に応じて停止したり回避したりする仕組みを備えていても、センサーの精度や検知範囲、故障時の挙動などに弱点があれば、重大な事故につながりかねません。
現場側には、機械が持つ機能を過信せず、どの条件で安全が担保され、どの条件でリスクが高まるのかを前提に、運用ルールを設計する視点が求められます。
また、無人運転の導入は、労働力不足への対応や労働生産性の向上という観点から大きな期待を背負っています。
一方で、安全の確保が不十分なまま導入が先行すれば、一度の事故が事業の継続を危うくする重大な経営リスクにもなり得ます。
そのため、開発メーカー側が備えるべき安全機能と、利用する企業側が整えるべき現場管理のルールを、両面から整理していくことが重要になります。
とりわけ中小企業でも取り入れやすい形で、考え方や手順を示す枠組みが整えば、現場の導入判断や教育にも役立つはずです。
結局のところ、無人運転技術の恩恵を最大化するためには、ハードウェアの進化と同じスピードで、目に見えない「安全の仕組み」もアップデートし続ける必要があります。
人が機械を守るという発想だけでなく、テクノロジーを適切に設計・管理することで、人と現場を守るという考え方へ移行できるかどうかが問われています。
今後、検討の取りまとめを踏まえて、指針の整備や制度面の見直しが段階的に進めば、より効率的で、かつ安全性の高い職場環境の実現につながることが期待されます。

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