企業年金の「見える化」が進む――事業報告の電子化と情報開示のこれから
- Takashi Fukunaga
- 2 日前
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厚生労働省は、企業年金制度の透明性を高め、加入者や求職者が制度の内容を比較検討しやすくする「見える化」を推進しています。
その一環として、確定給付企業年金(DB)については、事業及び決算に関する報告書の提出方法を見直し、オンライン提出を原則とする方向が示されています。
制度上は、令和9年6月1日以降を決算日とする報告書からオンライン提出が求められる整理です。
一方で、確定拠出年金(企業型DC)については、すでに業務報告の電子的な提出が運用されています。
そのため、制度によってデジタル化の進捗や位置づけが異なる点には留意が必要です。
この改革の背景には、人的資本経営への関心の高まりがあります。
企業年金は従業員にとって重要な資産形成の手段であり、企業にとっては採用・定着の面で大きな付加価値となります。
報告情報がデジタルで扱いやすくなることで、制度の姿が見えやすくなり、企業年金の位置づけがこれまで以上に意識される場面が増えていくでしょう。
また、厚生労働省は、報告書に記載される事項のうち一定の情報について、開示の方法や項目を検討しながら整備していく方向性を示しています。
これにより、制度の比較可能性が高まり、加入者や求職者が情報にアクセスしやすくなることが期待されます。
事業報告の電子化は、長期的には企業の事務負担の軽減にもつながります。
紙やPDF中心の運用では、作成・提出の手間がかかるだけでなく、後からの集計や確認にも時間を要しがちです。
オンライン提出が標準化されれば、入力やチェックの手続が整理され、報告の迅速化・正確化が期待できます。
もっとも、移行期には準備が欠かせません。
運用機関等との連携、社内で管理している年金関連データの整理、担当部門の体制整備など、企業ごとに整えるべき点は出てきます。
制度運営の情報が複数部署に分散している場合は、電子提出をきっかけに情報の所在や手順を整理することが、スムーズな移行に直結します。
企業年金の見える化は、働く人が自分の将来設計を立てやすくするための一歩であると同時に、企業にとっても福利厚生の価値を適切に伝える機会になります。
この流れを単なる事務手続きの変更として受け止めるのではなく、従業員への情報提供の質を高め、制度の信頼性と魅力を“伝わる形”に整える取り組みとして位置づけることが、今後ますます重要になっていくはずです。

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