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社会インフラを支える現場の人材確保――処遇改善と労務費転嫁がカギ

  • Takashi Fukunaga
  • 1月6日
  • 読了時間: 2分

私たちの生活に欠かせない物流、建設、交通、電力といった社会インフラを支える現場で、人材確保の難しさが深刻な課題となっています。

少子高齢化による労働力不足が社会全体で進む中、特に生活基盤の維持に直結するこれらの業種では、従事者の高齢化と若年入職者の減少が同時に進行しており、持続可能な運営が危ぶまれる状況にあります。

これまで社会インフラの現場は、担い手の使命感や「やりがい」に依存する側面が少なくありませんでしたが、労働市場の流動化が進む現在、それだけでは人材を引き留めることが難しくなっています。


人材確保の決定的な鍵を握るのは、賃金水準の向上や労働時間の短縮、福利厚生の充実といった実質的な処遇の改善です。

特に、2024年4月から適用が本格化した時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」は、建設業や運送分野を中心に長時間労働の是正を促す大きな契機となりました。

ただし、上限規制の適用のされ方は業種によって整理が異なるため、実務では自社の業務区分に応じた正確な理解が欠かせません。

また、単に労働時間を短縮するだけでは、結果として手取り額の減少を招き、離職を加速させるリスクも孕んでいます。

真の処遇改善には、効率的な業務プロセスの構築による生産性の向上と、それによって生み出された利益を確実に労働者へ還元する仕組みの確立が不可欠です。


加えて、適正な賃金の原資となる「労務費の適切な転嫁」も極めて重要な視点です。

発注者と受注者の間での価格交渉において、人件費の上昇分を反映させやすい環境を整えることは、インフラ維持という公共の利益を守ることに直結します。

公正取引委員会等が示す考え方や指針も踏まえ、取引条件の透明化と価格交渉の適正化を進めることは、下請取引の適正化を通じて業界全体の処遇を底上げし、将来を担う若い世代が安心して入職できる環境をつくるための土台となります。


人材確保は単なる一企業の採用活動の成否にとどまらず、社会の安心・安全をいかに守るかという重い課題を突きつけています。

過酷な労働環境というイメージを払拭し、社会に不可欠な役割に見合った正当な処遇を実現することが、人手不足という難局を乗り越えるための確かな道だと言えます。

企業が自らの組織体制を見直し、働く人々が誇りを持って活躍できる仕組みを構築することが、ひいては社会インフラの安定的な継続へとつながっていきます。

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