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お知らせ一覧


過労死等防止対策白書が示す変化――医療・福祉分野と女性の精神障害事案の増加
厚生労働省が公表した最新の「過労死等防止対策白書」において、精神障害に関する労災保険給付の請求・支給決定の動向に、注目すべき変化が表れています。 全体の件数が増加傾向にある中で、とりわけ「医療、福祉」分野における請求件数の増加と、女性労働者による精神障害事案の増加が目立つ結果となりました。 白書によると、業種別に見た精神障害の労災保険給付請求件数では、「医療、福祉」が全業種の中で最も多い状況が続いています。 医療・福祉分野は従来から件数の多い業種でしたが、近年はその増加傾向がより顕著になっています。 また、性別ごとの内訳を見ると、女性の請求件数が大きく増加している点も特徴の一つです。 白書の統計からも、精神障害に関する労災請求に占める女性の割合が高まっている傾向がうかがえ、働く女性のメンタルヘルス対策が重要な課題となっていることが浮き彫りになっています。 実務の現場から見ると、こうした背景には、いわゆる「感情労働」に伴う心理的負担や、ハラスメントの問題が深く関係していると考えられます。 医療や福祉の現場では、慢性的な人手不足による業務の過重化に加
Takashi Fukunaga
2025年12月22日読了時間: 3分


出勤停止期間と傷病手当金――「労務不能」の判断をめぐる重要な裁決例
アルコール依存症の療養のために労務に服することができなかった期間について、会社から出勤停止を命じられていたことを理由に傷病手当金が不支給とされたものの、後の審査でその処分が取り消された事例があります。 本稿では、この裁決例をもとに、傷病手当金の支給要件である「療養のため労務に服することができない」という要件が、労働契約上の労働義務の有無とどのように関係づけられるのかを整理します。 本件では、被保険者がアルコール依存症と診断され、医師の指示のもと療養を要する状態にありました。 そのため一定期間欠勤していましたが、この期間中、会社は就業規則に基づき当該従業員に対して出勤停止を命じています。 被保険者は、この出勤停止期間について傷病手当金を請求しました。 しかし、保険者はこれを不支給と決定しました。 不支給とされた理由は、会社から出勤停止命令が出ている期間については、労働契約上、労働者が労働を提供する義務そのものが発生しないと整理される点にありました。 すなわち、そもそも労働義務が存在しない以上、「労務に服することができない」という状態を観念することは
Takashi Fukunaga
2025年12月19日読了時間: 3分


労災認定結果は事業主に通知すべきか――揺れる制度見直しの行方
労働者災害補償保険法(いわゆる労災保険法)の見直しに向けた議論の中で、労災認定の結果を事業主に通知するかどうかという論点が、大きな注目を集めています。 現在、従業員が労災を申請した場合、労働基準監督署による調査を経て行われる支給・不支給の決定は、原則として申請者である労働者本人にのみ通知されます。 事業主に対して、認定結果そのものが制度上当然に通知される仕組みはありません。 そのため、労働者本人から報告を受けたり、メリット制による保険料率への影響などを通じて、結果を間接的に把握することになる場合がある、というのが現状です。 こうした運用を見直し、事業主への通知を制度として位置づける案が、厚生労働省の審議会で検討されています。 しかし、この点については労使の意見が大きく分かれています。 経営側は、事業主への通知は不可欠であるとの立場を取っています。 企業には、労働契約法に基づく安全配慮義務があり、労働災害の再発防止策を講じる責任があります。 しかし、そもそも当該事案が労災と認定されたのかどうかが分からなければ、原因分析や再発防止策の検討、さらには職
Takashi Fukunaga
2025年12月18日読了時間: 3分


協会けんぽ「電子申請サービス」開始に向けた重要な注意点
令和8年(2026年)1月13日から、全国健康保険協会(協会けんぽ)独自の「電子申請サービス」が開始される予定です。 この新サービスについて、実務上きわめて重要な注意点があり、誤解したまま制度開始を迎えると、現場が混乱するおそれがあります。 現時点で公表されている仕様によると、この電子申請サービスを利用できるのは、被保険者本人(従業員本人)、一部の手続きにおける被扶養者本人、そして社会保険労務士に限られています。 事業主(会社)が自社のアカウントでログインし、従業員に代わって申請を行う仕組みは想定されていません。 ここが今回、特に誤解されやすいポイントです。 これまで、傷病手当金や出産手当金などの申請では、従業員が申請書を記入し、事業主が勤務状況や賃金支払状況などの証明欄を記入したうえで、会社が取りまとめて協会けんぽへ郵送する、という運用が一般的でした。 しかし、新たに導入される電子申請サービスでは、被保険者本人がマイナンバーカードによる認証を行い、自身のスマートフォンやパソコンから、直接協会けんぽへ申請データを送信することが基本となります。..
Takashi Fukunaga
2025年12月17日読了時間: 3分


中小企業の賃上げ目標は「月1万8,000円」へ。連合が決定した2026春闘の厳しいハードル。
日本最大の労働組合組織である「連合」は、2026年の春季生活闘争(春闘)における方針を正式に決定しました。 その中で、特に中小企業(中小組合)の賃上げ目標について、前回を上回る「月額1万8,000円以上」、率にして「6%以上」という非常に高い水準が掲げられました。 「うちは組合がないから関係ない」と思われる経営者様もいらっしゃるかもしれませんが、この数字は決して無視できない意味を持っています。 なぜなら、春闘の妥結結果は、その年の最低賃金の改定幅や、世間一般の「賃金相場」に直結する先行指標となるからです。 人手不足が深刻化する中、求職者は「世の中の賃上げの流れ」に敏感です。 大企業や他社がこの目標ラインを意識して賃上げを行う中で、自社の賃金を据え置けば、相対的な魅力は低下し、採用難や既存社員の離職につながるリスクが高まります。 もちろん、原材料費の高騰などで原資の確保が難しい現状は理解できますが、この目標値は「物価高に負けない生活水準」を維持するために必要なラインとして算出されたものです。 企業としては、この数字を単なる圧力として捉えるのではなく
Takashi Fukunaga
2025年12月16日読了時間: 2分


来年度の雇用保険料率、2年連続の引き下げで1.35%へ。厚労省が調整
厚生労働省は12日、令和8年度(2026年度)の雇用保険料率について、現在の1.45%から1.35%に引き下げる方針を固めました。 これは昨年度に続き、2年連続での引き下げとなる見通しです。 背景には、雇用情勢の改善により失業手当の支給総額が想定よりも抑えられていることや、雇用保険財政の安定化が挙げられます。 具体的には、失業等給付、育児休業給付、雇用保険二事業の3つの料率区分のうち、失業等給付の料率を中心に引き下げが検討されています。 企業の人事労務担当者にとっては、非常にポジティブかつ実務的な影響の大きいニュースです。 近年、社会保険料率は上昇トレンドにあり、企業の法定福利費負担は年々重くなる一方でした。 その中で、たとえ0.1%の幅であっても、料率が下がるということは、従業員の手取り増加と会社負担の軽減に直結します。 特に、従業員数の多い企業や人件費率の高い業種においては、年間のコスト削減効果は決して小さくありません。 今後のスケジュールとしては、労働政策審議会での議論を経て、正式に料率が決定される運びとなります。 正式決定後は、給与計算シ
Takashi Fukunaga
2025年12月13日読了時間: 2分


年末年始の休暇は「法定休日」ではありません。割増賃金の計算ミスを防ぐ基礎知識。
12月も半ばとなり、社内の年末年始休暇のお知らせが出始める時期となりました。 多くの企業では12月29日頃から1月3日頃までを連休としているケースが多いですが、この期間に出勤した場合の賃金計算について、誤った認識を持っている事例が少なくありません。 よくある間違いが「年末年始は休みだから、働いたらすべて休日労働(35%増し)になる」という思い込みです。 労働基準法における「休日」には、明確に二つの種類があります。 一つは法律で義務付けられた週1回(または4週4日)の「法定休日」。 もう一つは、会社が独自に定めた「法定外休日(所定休日)」です。 一般的に、年末年始の休みは後者の「法定外休日」に該当することがほとんどです。 もし、この法定外休日に労働させた場合、その週の労働時間が40時間を超えていれば「時間外労働」としての割増率(25%以上)が適用されますが、法定休日労働としての割増率(35%以上)までは法律上求められていません。 つまり、就業規則で「年末年始は法定休日とする」と特段の定めがない限り、年末年始の出勤は35%増しではなく、通常の残業と同
Takashi Fukunaga
2025年12月12日読了時間: 2分


現場の安全を守るリーダーたちへ。「令和7年度 安全優良職長厚生労働大臣顕彰」の受賞者が決定しました。
厚生労働省より、建設業や製造業などの現場において、優れた安全指導力を発揮している「職長」を称える「安全優良職長厚生労働大臣顕彰」の令和7年度の受賞者が発表されました。 この顕彰制度は、高い技能を持ちながら、部下の安全衛生教育や指揮監督において模範となる職長(現場リーダー)を国が直接評価するものです。 人手不足が深刻化する昨今の産業界において、現場の安全を守りながら生産性を維持することは容易なことではありません。 そのような中で、長年にわたり無災害を継続し、適切なリスクアセスメントや安全指導を実践しているリーダーの存在は、企業の宝とも言えるでしょう。 今回の公表は単なる受賞者の発表にとどまらず、すべての企業に対して「現場の安全管理能力」の重要性を再認識させるメッセージでもあります。 労働災害の多くは、不安全な行動や設備の不備だけでなく、現場でのコミュニケーション不足や指揮命令系統の曖昧さから生じることが少なくありません。 だからこそ、現場の最前線に立つ職長が、正しい知識とリーダーシップを持って部下を導くことが、災害防止の最後の砦となります。...
Takashi Fukunaga
2025年12月11日読了時間: 2分


【厚労省公表】「年末年始無災害運動」がスタート、繁忙期の事故防止へ重点チェック事項を確認
生労働省および中央労働災害防止協会は、本年も12月1日から翌年1月15日までの期間を「年末年始無災害運動」と定め、職場における労働災害防止の徹底を呼びかけています。 公表された実施要綱によると、年末年始は業務の繁忙や、大掃除・機械設備の保守点検など、普段とは異なる作業が増加するため、労働災害のリスクが極めて高くなる時期であると指摘されています。 今年度の運動では、特に「転倒災害の防止」と「交通労働災害の防止」が重点事項として掲げられました。 統計的に見ても、冬季は路面の凍結による転倒や、日没が早いことによる交通事故が多発する傾向にあります。 また、非定常作業(機械のトラブル対応や清掃など)における「はさまれ・巻き込まれ」事故も、この時期に発生しやすい災害の一つです。 企業の人事労務担当者や安全管理者が、この公表を受けて直ちに行うべきことは、職場内のリスク再点検です。 具体的には、通路や階段の照明が切れていないか、床面に水濡れや段差がないかといった物理的な点検に加え、作業手順書が最新の状態になっているかの確認が求められます。 特に、年末の大掃除や設
Takashi Fukunaga
2025年12月10日読了時間: 2分


【統計速報】10月の現金給与総額は増加も実質賃金は横ばい、物価上昇との拮抗続く
厚生労働省は12月6日、最新の毎月勤労統計調査(10月分速報)の結果を公表しました。 公表された調査結果によると、基本給や残業代などを合わせた労働者1人あたりの現金給与総額(名目賃金)は、前年同月と比較してプラスとなり、長引く物価高に対応するための賃上げ効果が数値として表れています。 特に基本給を中心とする所定内給与の伸び率は堅調に推移しており、多くの企業でベースアップや初任給の引き上げが実施された影響が継続していることが確認されました。 一方で、物価の変動分を差し引いた実質賃金については、前年同月比でマイナス0.1%となり、ほぼ横ばいの状態で推移しています。 これは名目上の賃金額は増えているものの、消費者物価指数の上昇率も依然として高い水準にあるため、賃金の伸びが物価の上昇によって相殺されている状況を示しています。 就業形態別に見ると、一般労働者とパートタイム労働者の双方で時間当たりの賃金は上昇していますが、総実労働時間には減少傾向も見られ、働き方の変化が給与総額に影響を与えている側面も読み取れます。 今回公表されたデータは、企業における賃上げ
Takashi Fukunaga
2025年12月9日読了時間: 2分
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