top of page

正社員転換制度を形骸化させないために――意向確認・配慮が求められる時代へ

  • Takashi Fukunaga
  • 13 時間前
  • 読了時間: 2分

同一労働同一賃金をめぐる議論が続く中で、足元では「賃金差そのものを一律に揃える」方向の議論だけでなく、非正規雇用で働く人のキャリア形成をどう後押しするかに、政策の重心が移りつつあります。

その象徴の一つが、正社員転換の推進に関する運用の明確化です。


パートタイム・有期雇用労働法では、事業主に対し、短時間・有期雇用労働者について正社員転換を推進するための措置を講ずることを求めています。

そして近時の審議会資料では、こうした措置を講ずるに当たり、面談等を通じて本人の意向を確認し、その意向に配慮することを、指針等でより明確に示していくことが適当だと整理されています。


これまでの実務でも、制度として「転換の道筋」を置いている企業は少なくありませんでした。

ただ、制度があっても、本人が情報に触れにくい、希望を言い出しにくい、何を準備すればよいか分からないといった理由で、転換が現実の選択肢になっていないケースもあります。

意向確認や配慮がより重視される方向になれば、企業側には、制度を置くだけでなく、本人が判断できる材料を示し、希望がある場合の進め方を丁寧に設計する姿勢が求められることになります。


働く側にとっても、これは「受け身で待つ」だけではなく、将来の働き方を会社と話し合う機会が生まれやすくなる、という意味を持ちます。

正社員を目指すのか、今の働き方を続けるのか。

その希望を言語化しやすい環境が整えば、非正規雇用で働く人のキャリアが、より現実的な形で支えられやすくなります。


企業側にとっても、人手不足が続く中で、すでに業務を理解している人材を活かし、定着につなげることは合理的です。

意向確認や配慮の考え方を、単なる負担増として受け止めるのではなく、育成・配置・評価を含めた人材戦略の一部として整えることが、結果的に現場の安定につながります。


賃金という「結果」だけでなく、キャリアの選択肢という「プロセス」を整えること。

この流れが進めば、正社員転換制度が形だけの規定にとどまらず、本人の希望と企業の人材活用が噛み合う実効性ある仕組みへ近づいていくはずです。

コメント


bottom of page