top of page
お知らせ一覧


労災の「特別支給金」も争える時代へ?――不服申立ての対象化が議論されています
労災保険では、被災した労働者や遺族の生活を支える給付として、休業補償給付や障害補償給付などの「保険給付」があります。 これに加えて、一定の場合に上乗せして支給されるものとして「特別支給金(いわゆる上乗せ給付)」があります。 この特別支給金について、近年の議論の中で大きな論点になっているのが、不支給などの決定に納得できない場合に、どこまで不服申立て等で争えるのかという点です。 これまでの実務では、保険給付(本体)については、決定に不服があれば審査請求などの手続を通じて争う道が用意されている一方、特別支給金については、制度上の位置づけの関係で、同じような不服申立ての枠組みで扱われにくい面がありました。 そのため、当事者から見れば、「本体は争えるのに、上乗せは救済ルートが限られる」と感じやすい構造が残っていたのです。 この点については、厚生労働省の審議会資料でも課題として整理されており、社会復帰促進等事業(特別支給金を含む)についても、不服申立て等の対象として扱えるようにする方向が示されています。 もしこの方向で制度が整えば、特別支給金についても、決定
Takashi Fukunaga
2月17日読了時間: 2分


労災の遺族(補償)年金、配偶者要件の男女差を解消へ
労災保険制度における遺族(補償)等年金について、配偶者の支給要件に残っていた男女差を見直し、差を解消する方向で検討が進んでいます。 これまでの制度では、残された配偶者が妻であれば年齢にかかわらず年金の対象になり得る一方、夫の場合は年齢要件などが設けられており、要件に差がある仕組みでした。 こうした差について、近年の家族のあり方や共働きの広がりを踏まえれば、配偶者を亡くした後の生活再建に必要な支えを、性別で分けて考える合理性は小さくなっています。 そのため、遺族(補償)等年金における夫と妻の支給要件の差は解消し、特に「夫にのみ課されている支給要件」を見直すことが適当だ、という整理が示されています。 また、給付水準の面でも、高齢や障害のある妻のみに特別の上乗せを設ける合理性が乏しいとして、見直し(特別加算の廃止等)を行い、遺族の人数に応じた給付水準に整理する考え方も示されています。 今後は、こうした方向性を踏まえ、制度としての具体的な取り扱い(対象範囲、経過措置、施行時期など)が順次検討・整備されていくことになります。 重要なのは、残された家族の生活
Takashi Fukunaga
2月16日読了時間: 1分


労災の“空白”をなくす動きが進む
日本の労働者保護における「最後の空白地帯」とも言われてきた仕組みが、いま解消に向けて動き出しています。 2026年の労働政策の議論の中で注目されているのが、労災保険制度にある「暫定任意適用事業」の扱いです。 これは、働く場所や事業の規模にかかわらず、より多くの労働者を同じセーフティネットで守れるようにしていく、という流れの一つに位置づけられます。 これまで、農林水産業のうち一定の範囲では、労災保険が自動的にかかる(強制適用)仕組みではなく、事業主の手続きによって適用関係が成立する運用が残ってきました。 たとえば個人経営で、常時使用する労働者が5人未満の事業などが、その代表例として挙げられます。 「暫定」という名前の制度が長く続いてきたこと自体が、いまの働き方や安全意識に照らすと、見直しが必要になってきた背景を感じさせます。 この見直しが議論される理由として、農林水産業は、他の産業に比べて労働災害のリスクが高いと指摘されてきた点があります。 小規模な経営体ほど、万が一の事故が起きたときに、事業主が十分な補償を用意しきれないことも起こり得ます。...
Takashi Fukunaga
2月13日読了時間: 2分


同一労働同一賃金の次の一手:派遣の“物差し”を整える
同一労働同一賃金は、ずっと日本の大きなテーマです。ただ、2026年の動きを見ると、「法律を大きく書き換える」よりも、「現場のルールの見直しで、実質を変えていく」方向の議論が目立ちます。 その中で注目されるのが、派遣労働者に多い「労使協定方式」です。 これは、派遣会社と労働者代表が協定を結び、同じような仕事をする一般の労働者と比べて、賃金などが低くなりすぎないようにする仕組みです。 ポイントになるのが、比べる相手の“物差し”です。 労使協定方式では、「一般労働者の賃金水準(一般賃金)」という基準を使います。 ところが、この一般賃金については、統計の使い方や職種の分け方が現場の実態と合っていないのではないか、という指摘が以前からあります。 最近は、物価の上昇や賃上げの流れが続いています。 その影響をもう少し素直に反映できるように、一般賃金の考え方や運用を見直した方がよい、という問題意識が強まっています。 つまり、「法律を変えなくても、実務のルールを整えるだけで、派遣の賃金水準が上がる可能性がある」という見方です。 この動きは、派遣先企業にも影響します
Takashi Fukunaga
2月12日読了時間: 2分


正社員転換制度を形骸化させないために――意向確認・配慮が求められる時代へ
同一労働同一賃金をめぐる議論が続く中で、足元では「賃金差そのものを一律に揃える」方向の議論だけでなく、非正規雇用で働く人のキャリア形成をどう後押しするかに、政策の重心が移りつつあります。 その象徴の一つが、正社員転換の推進に関する運用の明確化です。 パートタイム・有期雇用労働法では、事業主に対し、短時間・有期雇用労働者について正社員転換を推進するための措置を講ずることを求めています。 そして近時の審議会資料では、こうした措置を講ずるに当たり、面談等を通じて本人の意向を確認し、その意向に配慮することを、指針等でより明確に示していくことが適当だと整理されています。 これまでの実務でも、制度として「転換の道筋」を置いている企業は少なくありませんでした。 ただ、制度があっても、本人が情報に触れにくい、希望を言い出しにくい、何を準備すればよいか分からないといった理由で、転換が現実の選択肢になっていないケースもあります。 意向確認や配慮がより重視される方向になれば、企業側には、制度を置くだけでなく、本人が判断できる材料を示し、希望がある場合の進め方を丁寧に設
Takashi Fukunaga
2月10日読了時間: 2分


同一労働同一賃金の次の一手――待遇差の理由を伝える時代へ
同一労働同一賃金をめぐる議論は、長年の大きなテーマです。 一方で、2026年に向けた最近の動きは、法律を大きく組み替えるよりも、まずは現場の「見える化」を進める方向に重心が置かれているようです。 その一つが、雇い入れ時に交付する労働条件通知書などの「労働条件の明示」に関する見直しです。 報道などによれば、非正規で働く人が、正社員との待遇の違いなどについて「説明を求めることができる」ことを、雇い入れ時に分かる形で示す取扱いが検討されています。 これまでのルールでも、非正規で働く人から求めがあれば、会社は待遇差の理由などを説明する義務があるとされてきました。 ただ現実には、説明を求めること自体に心理的なハードルがあり、制度が十分に機能しにくい場面もありました。 雇い入れの段階で「説明を求められること」自体が明示されると、働く側は、後から聞いてもよいのだと分かりやすくなります。 会社側にとっても、待遇の違いがあるなら、何をどう説明するのかを事前に整理しておく必要が高まり、結果として、賃金や手当の考え方の透明性が上がりやすくなります。...
Takashi Fukunaga
2月9日読了時間: 2分


受動喫煙対策は次の段階へ――「屋内禁煙」が当たり前になった今、見直しで何が話題になるのか
2020年4月から、改正健康増進法のルールが本格的に動き出し、職場や飲食店を含めて「建物の中は原則禁煙」という考え方が広がりました。 その結果、以前よりもたばこの煙に困る場面は減り、屋内では禁煙が当たり前、という空気が定着してきたといえます。 一方で、この法律は「施行から5年ほど経ったら、状況を見て必要があれば見直す」という考え方も前提にしています。 ちょうどその節目に差しかかっているため、これまでの成果を確認しつつ、残っている課題をどうするかが話題になりやすい時期に入っています。 まず大きな話題になりやすいのが、小さな飲食店の例外扱いです。 現在の制度では、一定の条件を満たす“既に営業している小規模な店”については、手続きをすれば店内で喫煙できる形を選べる場合があります。 ただ、そこで働く人の立場から見ると「小さなお店でも、職場で煙を吸わされることになるのはどうなのか」という問題が残ります。 一方で、急に全面禁煙になると経営への影響が出るという声もあり、今後の見直しの場面で意見が割れやすいところです。 次に論点になりやすいのが、加熱式たばこの扱
Takashi Fukunaga
2月6日読了時間: 2分


精神障害の労災認定「再審査で支給へ」――基準見直しが示した救済の広がり
仕事が原因で心の健康を損なったとき、その負担が業務によるものだと社会的に認めてもらう「労災認定」は、当事者や家族にとって極めて重要な制度です。 一方で、精神障害の労災は事実関係の整理や評価が難しく、申請しても不支給となるケースがあるのも現実です。 そうした中で注目されたのが、厚生労働省が、認定基準の見直しを踏まえて過去の不支給事案を再点検し、結果として93件を「支給」へ変更したとする公表です。 根拠となるのは、厚生労働省 労働基準局 労災管理課が2024年(令和6年)4月16日に公表した「精神障害等の労災認定基準の改正に伴う審査請求事案等の取扱いについて(結果報告)」です。 この動きの背景には、2023年(令和5年)9月に行われた「精神障害の労災認定基準」の見直しがあります。 見直しでは、現代の職場で起こり得る出来事をより具体的に捉え、出来事が重なった場合の負担の評価などについて、実態に沿う形へ整えていく方向性が示されました。 その結果、従前の基準で整理された事案の中に、見直し後の考え方で評価し直す必要があるものが生じ得るため、再審査(再点検)が
Takashi Fukunaga
2月5日読了時間: 2分


倒産時の「未払い賃金」を早く・確実に――立替払手続の負担軽減へ
会社の倒産という厳しい局面で、未払いとなった賃金は生活に直結する問題です。 こうしたときの救済策として、一定の要件のもとで国が未払い賃金の一部を立て替えて支払う「未払い賃金立替払制度」がありますが、申請手続が負担になりやすい点は長く課題とされてきました。 この点について、制度運用を支える省令の整備が進み、提出書類の取扱いや電子的な手続に関するルールが見直されています。 具体的には、請求に際して添付が想定される書類について、労働者健康安全機構が不要と認める場合には添付を求めない取扱いを設けるなど、必要な範囲に絞った確認へと整理していく方向が示されています。 また、情報通信技術を活用した提出手続に関しても、書類作成・提出の場面で実務が滞らないよう、電子手続の取扱いを明確化する整備が進められています。 申請者側としては、手続の入口での差し戻しや追加確認が減るほど、生活再建に向けた時間を確保しやすくなります。 もちろん、制度の性質上、事案によっては事実確認のために追加資料が求められることはあり得ます。 ただ、確認のための手続負担を必要以上に重くしない方向
Takashi Fukunaga
2月4日読了時間: 2分


カスハラ対策の新局面――従業員を守る組織の責任が明確に
サービス業界を中心に長年の課題となってきたカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」への対策が、いよいよ制度として大きく動きます。 近年の法改正により、企業に対してカスハラ防止のための「雇用管理上必要な措置」を求める枠組みが整備され、施行日は「公布の日から起算して1年6か月以内で政令で定める日」とされています。 審議会資料などでは、施行期日を2026年10月1日とする方向(政令案・予定)も示されており、企業側の準備が実質的に求められる局面に入っています。 施行に向けて企業に求められるのは、現場任せや個人の我慢に依存しない体制づくりです。 まず重要なのは、社内で「カスハラに当たり得る行為」を整理し、相談があったときに受け止められる窓口や報告ルートを整えることです。 あわせて、現場が迷わないように、対応の基本方針や記録の取り方、エスカレーション(上長・本部・外部機関)基準を含む運用ルールを用意しておく必要があります。 また、被害を受けた従業員のケアも欠かせません。 相談後のフォロー、配置や勤務の調整、必要に応じた産業保健スタッフとの連携など、心身の
Takashi Fukunaga
2月3日読了時間: 2分
bottom of page