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秋の深まりとともに考える「有給休暇の取り方」

  • Takashi Fukunaga
  • 11月6日
  • 読了時間: 2分

11月に入り、朝晩の冷え込みが一段と強まってきました。

街を歩けば紅葉も進み、仕事の合間に季節の変化を感じることも多くなったのではないでしょうか。

そんな時期になると、年末に向けて「有給休暇をどう消化するか」を意識する方も増えてきます。

今回は、有給休暇の取得に関して、労務管理の観点から改めて整理してみたいと思います。


年次有給休暇(以下「有休」)は、労働基準法第39条で定められた労働者の権利です。

勤続6か月以上、全労働日の8割以上出勤している労働者には、少なくとも10日の有休が付与されます。

その後、勤続年数に応じて付与日数が増えていき、最長で20日まで付与される仕組みです。

この制度は「心身のリフレッシュのために一定の休暇を保障する」ことが目的であり、企業としても適切な取得を促すことが求められています。


2019年の法改正により、「年5日の有休取得義務化」が導入されました。

対象は年10日以上の有休が付与される労働者で、会社は年5日分について、時季を指定してでも取得させる義務があります。

このルールは、働く人の休む権利を実効性あるものにするための仕組みです。

違反した場合、企業には罰則(30万円以下の罰金)が科されることもあります。


一方で、年末に向けて多くの企業では繁忙期を迎えます。

業務の都合上、全員が希望通りに休むのが難しいケースもあるでしょう。

しかし、企業が時季変更権を行使できるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られており、常にその理由が認められるわけではありません。

したがって、会社側としては早めに年間計画を立て、社員ごとの取得予定を把握しておくことが望まれます。


また、有休の「時間単位取得制度」を導入している企業も増えています。

これは労使協定の締結を前提に、年5日分を上限として時間単位で有休を取ることを可能にする仕組みです。

例えば「午前中だけ休む」「子どもの送り迎えのために1時間だけ休む」といった柔軟な働き方を実現できる点で、ワークライフバランスの改善にも寄与します。


年末調整や繁忙期の業務に追われる前に、自身の有休残数や取得予定を確認しておくことは、労働者にとっても企業にとっても大切な準備です。

計画的に休みを取ることは、単なるリフレッシュだけでなく、健康維持や業務効率の向上にもつながります。


今年もあと2か月。

慌ただしい時期だからこそ、「休むこと」も仕事の一部と考え、有休を上手に活用して年末を迎えたいものです。

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