遅発性疾病の労災給付は「昔の賃金」から変わるのか
- Takashi Fukunaga
- 19 分前
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アスベストなどは、原因となる作業から何十年もたって病気が見つかることがあります。
労災給付の金額は「給付基礎日額」を土台に決まり、これは原則として直近3か月の賃金から計算します。
ところが遅発性疾病では、有害業務をしていた最後の職場を離れた頃の賃金を起点に算定する形が中心になりやすく、その後に収入が上がった人ほど給付が実態より低く見える不公平が起こり得ました。
たとえば20代で有害業務の職場を離れ、別の仕事で働き続けて60代で発症したとき、給付の土台が若い頃に寄ってしまうと、発症後の生活を支える力が弱くなってしまいます。
2026年1月14日の報告では、離職後に別の職場で有害業務以外の仕事をしながら発症した場合、発症時の賃金が、ばく露時賃金を基礎に現行の取扱いで算定した平均賃金より高いときは、発症時賃金を用いることが適当と整理されました。
言い換えると、昔を起点にした計算より、発症時点に近い賃金のほうが高いなら、いまの賃金を土台にできる方向です。
これは、病気で失われる「働いて稼ぐ力」を、現在の生活水準に近い形で支える考え方に寄せる動きだといえます。
一方で、離職後に就業していない期間に発症した場合は、現行の扱いを維持しつつ検討を続けるとされています。
また、事業場の保険料に影響するメリット制への反映は、ばく露時賃金をもとにした給付額相当分に限る方向も示されています。
現時点では「こう見直すのが適当」という報告が出た段階なので、実際の適用開始日や手続、すでに受給している人への扱いは、今後の通知などで具体化していく部分が残ります。

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