労災の「特別支給金」も争える時代へ?――不服申立ての対象化が議論されています
- Takashi Fukunaga
- 2 日前
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労災保険では、被災した労働者や遺族の生活を支える給付として、休業補償給付や障害補償給付などの「保険給付」があります。
これに加えて、一定の場合に上乗せして支給されるものとして「特別支給金(いわゆる上乗せ給付)」があります。
この特別支給金について、近年の議論の中で大きな論点になっているのが、不支給などの決定に納得できない場合に、どこまで不服申立て等で争えるのかという点です。
これまでの実務では、保険給付(本体)については、決定に不服があれば審査請求などの手続を通じて争う道が用意されている一方、特別支給金については、制度上の位置づけの関係で、同じような不服申立ての枠組みで扱われにくい面がありました。
そのため、当事者から見れば、「本体は争えるのに、上乗せは救済ルートが限られる」と感じやすい構造が残っていたのです。
この点については、厚生労働省の審議会資料でも課題として整理されており、社会復帰促進等事業(特別支給金を含む)についても、不服申立て等の対象として扱えるようにする方向が示されています。
もしこの方向で制度が整えば、特別支給金についても、決定の妥当性をチェックする仕組みがより明確になり、権利救済の見通しが良くなることが期待されます。
そもそも特別支給金は、被災後の生活を支える上で「あるとないとでは大きい」給付です。
給付の種類によっては金額の計算や支給要件が分かりにくく、当事者が「これで合っているのか」と疑問を持つ場面も起こり得ます。
そうしたときに、第三者的な手続の中で説明や再検討を求められる道がはっきりすれば、制度全体への信頼にもつながります。
もちろん、今後の制度化の中身(どの決定を、どの手続で、どの範囲まで対象にするのか)は丁寧に設計される必要があります。
ただ、方向性としては、「上乗せ給付も含めて、納得できない決定には手続的な救済が用意されるべき」という考え方が前に進みつつある、という理解が安全です。
労災は、ある日突然、誰にでも起こり得ます。
だからこそ、給付が支払われるかどうか、支払われるとして金額が妥当かどうかについて、説明と見直しの道筋が見えることは、働く人にとって大きな安心材料になります。
特別支給金をめぐる今回の動きは、労災保険を「支える仕組み」として、より分かりやすく、より誠実な形へ近づけていく一歩として注目したいところです。

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