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労災の“空白”をなくす動きが進む

  • Takashi Fukunaga
  • 19 時間前
  • 読了時間: 2分

日本の労働者保護における「最後の空白地帯」とも言われてきた仕組みが、いま解消に向けて動き出しています。

2026年の労働政策の議論の中で注目されているのが、労災保険制度にある「暫定任意適用事業」の扱いです。

これは、働く場所や事業の規模にかかわらず、より多くの労働者を同じセーフティネットで守れるようにしていく、という流れの一つに位置づけられます。


これまで、農林水産業のうち一定の範囲では、労災保険が自動的にかかる(強制適用)仕組みではなく、事業主の手続きによって適用関係が成立する運用が残ってきました。

たとえば個人経営で、常時使用する労働者が5人未満の事業などが、その代表例として挙げられます。

「暫定」という名前の制度が長く続いてきたこと自体が、いまの働き方や安全意識に照らすと、見直しが必要になってきた背景を感じさせます。


この見直しが議論される理由として、農林水産業は、他の産業に比べて労働災害のリスクが高いと指摘されてきた点があります。

小規模な経営体ほど、万が一の事故が起きたときに、事業主が十分な補償を用意しきれないことも起こり得ます。

保険に入っていない状態は、労働者にとって不安が大きいだけでなく、事故対応が経営そのものを揺るがす要因にもなり得ます。

担い手不足が進む一次産業で、安心して働ける環境を整えることは、いまや「あると良い制度」ではなく、産業を支える土台に近いテーマになっています。


一方で、小規模な事業主にとっては、保険料負担や事務手続きが増えることへの心配があるのも事実です。

天候や相場の影響を受けやすい一次産業では、固定費が増えることへの警戒感は自然な反応だと思います。

そのため、議論の中では、現場が混乱しないように「円滑に進めるための期間を設けること」や、実務負担に配慮した進め方が重要な論点になります。


結局のところ、労災保険のカバー範囲を広げていく動きは、「どこで、どんな規模の職場で働いていても、仕事中のけが等に対する公的な補償がある」という当たり前を、より確かなものにしていく取り組みです。

この変化を、単なる負担増として片付けるのではなく、一次産業が次の世代に選ばれていくための基盤づくりとして捉え直すことが、これから一段と大切になっていくはずです。

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