連合が方針決定、中小企業の賃上げと「価格転嫁」が最大の焦点に
- Takashi Fukunaga
- 12月6日
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2026年の春季生活闘争、いわゆる春闘に向けた基本構想が固まり、労働組合の中央組織である連合が具体的な方針を決定しました。
長引く物価高騰や人手不足を背景に、経済の好循環を止めることなく持続的な成長を目指すため、前年に続き「5%以上」という高い水準での賃上げを求める内容となっています。
今回の方針の中で特に注目すべきポイントは、大企業と中小企業の間にある賃金格差の是正を最優先課題として掲げている点です。
日本の雇用の大半を支える中小企業において賃上げが進まなければ、実質賃金の安定的な上昇は実現できないという強い危機感が示されています。
しかし、原材料費やエネルギーコストの上昇に苦しむ中小企業にとって、原資の確保なしに大幅な賃上げを行うことは経営を揺るがしかねない重大な問題です。
そこで重要視されているのが、サプライチェーン全体での適正な取引関係の構築と、労務費を含むコスト上昇分の「価格転嫁」です。
下請け企業が親会社に対して価格交渉を行いやすい環境を作ることこそが、中小企業の賃上げを実現する唯一の道筋であると強調されています。
企業の人事労務担当者としては、こうした世の中の潮流を読み解き、自社の賃金制度が市場水準と乖離していないかを確認する必要があります。
単に基本給を上げるだけでなく、従業員のエンゲージメントを高めるための人事評価制度の見直しや、生産性向上に向けた業務フローの改善もセットで検討すべき時期に来ています。
また、賃上げは人材確保の観点からも避けて通れない課題となっており、採用競争力を維持するためにも他社の動向を注視することが欠かせません。
労使交渉が本格化する前に、経営層と人事部門が一体となって、持続可能な賃金体系のあり方について議論を深めておく準備が求められます。

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