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【統計速報】10月の現金給与総額は増加も実質賃金は横ばい、物価上昇との拮抗続く

  • Takashi Fukunaga
  • 4 日前
  • 読了時間: 2分

厚生労働省は12月6日、最新の毎月勤労統計調査(10月分速報)の結果を公表しました。

公表された調査結果によると、基本給や残業代などを合わせた労働者1人あたりの現金給与総額(名目賃金)は、前年同月と比較してプラスとなり、長引く物価高に対応するための賃上げ効果が数値として表れています。

特に基本給を中心とする所定内給与の伸び率は堅調に推移しており、多くの企業でベースアップや初任給の引き上げが実施された影響が継続していることが確認されました。

一方で、物価の変動分を差し引いた実質賃金については、前年同月比でマイナス0.1%となり、ほぼ横ばいの状態で推移しています。

これは名目上の賃金額は増えているものの、消費者物価指数の上昇率も依然として高い水準にあるため、賃金の伸びが物価の上昇によって相殺されている状況を示しています。

就業形態別に見ると、一般労働者とパートタイム労働者の双方で時間当たりの賃金は上昇していますが、総実労働時間には減少傾向も見られ、働き方の変化が給与総額に影響を与えている側面も読み取れます。

今回公表されたデータは、企業における賃上げの動きが着実に定着しつつあることを裏付ける一方で、それが働く人の購買力向上という実感にまでは十分に浸透しきれていない現状を浮き彫りにしています。

名目賃金の上昇が物価上昇を安定的に上回るかどうかが、今後の経済循環を見る上で引き続き重要な指標となります。

企業実務の観点からは、この結果は来期の賃金改定を検討する際の客観的な判断材料の一つとなります。

単に他社の賃上げ率を参照するだけでなく、自社の従業員の生活水準が物価高によってどのような影響を受けているかを考慮し、基本給の改定だけでなく、インフレ手当などの一時的な支給も含めたトータルな報酬設計が必要となる局面と言えるでしょう。

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