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パワハラの「判断の軸」はそのままに、例示がより具体化へ。自爆営業とSOGIが論点に。

  • Takashi Fukunaga
  • 2 時間前
  • 読了時間: 2分

2026年、日本の職場におけるパワーハラスメント対策は、判断の考え方そのものを変えるというより、「どんな行為が問題になり得るのか」をより具体的に示す方向で議論が進んでいます。

パワハラの基本は引き続き、優越的な関係を背景にした言動であること。

業務上必要かつ相当な範囲を超えること。

そして就業環境が害されること。

この三つの要素を満たすかどうかで判断する、という枠組みです。


そのうえで、これまで「グレーに見えやすい」テーマについて、指針の例示を追加して明確化していく案が示されています。

ここで注目されているのが、いわゆる「自爆営業」です。

ノルマ達成などを理由に、労働者に自社商品やサービスの購入を強いるような行為について、パワハラの三要素を満たす場合はパワハラに該当し得ることを、指針に明記する方向が示されています。


このポイントは、「新しい禁止行為が増える」というより、これまで曖昧に扱われがちだった買い取り強要を、従来の判断枠組みの中で正面から位置づけ直すことにあります。

本人の“意欲”や“協力”という言葉で包んでも、業務の適正な範囲を超えて精神的・経済的な負担を与えるなら、問題になり得る。

その線引きを、よりはっきりさせようという動きです。


もう一つ、大きな論点がSOGIに関するハラスメントです。

改正イメージでは、性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を「精神的な攻撃」の例に含める。

また、性的指向・性自認などの機微な個人情報を、本人の了解なく暴露することや、開示を強要したり禁止したりすることを「個の侵害」の例に含める。

こうした形で、SOGIに関する不適切な扱いが、パワハラの文脈でも明確に問題化されていく方向です。


ただし大前提として、例示が増えても、個別事案の判断は「三要素に照らして総合的に考慮する」という建て付けは変わりません。

だからこそ、企業側に求められるのは「何がダメか」を列挙するだけではなく、相談があったときに丁寧に事実確認をし、本人の受け止めや心身の状況にも配慮しながら、適切に対処できる体制を持つことです。


パワハラ対策は、形だけのマニュアル作りで終わらせると、かえって現場が萎縮します。

自爆営業のように数字が絡む場面でも、SOGIのようにプライバシーが絡む場面でも、線引きが必要なのは「成果のためなら何でも許される」という空気です。


誰かの犠牲の上に職場が成り立つのではなく、互いの尊厳を守りながら力を出せる場所にする。

今回の議論は、そのために「曖昧にしない」方向へ一歩踏み出そうとしている、と言えます。

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