5年を迎えた同一労働同一賃金―見直し議論の焦点とは
- Takashi Fukunaga
- 11月26日
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同一労働同一賃金が施行されてから5年が経ち、制度のあり方について見直し議論が本格化しています。
当初は正社員と非正規雇用との不合理な待遇差をなくすことが目的とされましたが、実際の運用では判断に迷うケースも多く、現場での戸惑いが指摘されてきました。
最新の審議会では、待遇差が問題になりやすい「賞与」「各種手当」「教育訓練」「福利厚生」などが重点項目として挙げられているようです。
特に、仕事内容や責任は近いのに手当だけが異なるといったケースでは、本人の納得感を得にくいとの声があり、基準の明確化が課題とされています。
また、制度導入から時間が経つなかで、当初整理されていた運用ルールが曖昧になっている企業も少なくないでしょう。
職務内容が変化したにもかかわらず待遇差の見直しが行われていない例や、歴史的な慣行だけが残っている例など、制度と実態がずれてしまう状況も考えられます。
こうした制度の形骸化を防ぐためにも、今回の見直しは運用状況を一度整理する機会といえそうです。
見直し議論の中では、中小企業が特に負担を感じやすい点も指摘されています。
実態に応じて待遇差の説明を行うには、業務内容や責任範囲を丁寧に整理する必要があり、その手間や時間を確保しにくいことが背景にあります。
指針や事例集の充実が求められているのは、その負担をできるだけ軽減し、判断基準をわかりやすくする狙いがあると考えられます。
制度が導入されてからの5年間で、働き方は大きく変化しました。
在宅勤務の普及やジョブ型の広がりなど、従来の職務分類だけでは整理しきれない状況が生まれています。
今回の見直しは、変化し続ける働き方に合わせて制度をアップデートする過程といえるでしょう。
今後、指針の改定内容や具体的な事例集が公表されれば、待遇差をどう整理すべきかの方向性がより明確になるはずです。
制度をより実態に合わせ、働き手が納得しやすい仕組みに近づくことが期待されます。

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