2026年4月から「治療と就業の両立支援」が努力義務に。職場に求められる備えが変わる。
- Takashi Fukunaga
- 3月4日
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2026年4月1日、改正労働施策総合推進法の施行により、職場における「治療と就業の両立支援」が事業主の努力義務になります。
これまでも両立支援は推奨されてきましたが、今後はすべての事業主に対して、病気を抱える従業員が仕事を続けられるよう必要な措置を講じることが、より明確に求められることになります。
この努力義務を具体的にどう進めるかについては、厚生労働省から「治療と就業の両立支援指針」が公表されており、こちらも2026年4月1日から適用されます。
ポイントは、難しい制度を新しく作ることというより、職場の中に「相談して、状況を整理し、必要な配慮を決めていく道筋」をはっきり持つことです。
指針で特に重視されているのが、企業が両立支援に取り組む姿勢を「基本方針」として示し、それを全ての労働者に周知することです。
病気になった人を切り捨てるのではなく、可能な範囲で支えながら働き続けることを会社として明確にする。
この宣言があるだけで、従業員が相談しやすくなり、職場全体の空気も変わりやすくなります。
進め方の基本は「本人の申し出」を起点にすることです。
本人が申し出た内容を受けて、必要に応じて主治医の意見を確認し、産業医や保健師など社内外の専門職の助言も踏まえながら、働き方の調整を検討していきます。
労働時間の短縮、時差出勤、業務内容の変更、通院に合わせた勤務の組み替えなど、手段は一つではありません。
大切なのは、会社が一方的に結論を出すのではなく、医学的な見立てと職場の実態の両方を見ながら、現実的な落としどころを作ることです。
その際に欠かせないのが、健康情報の取り扱いです。
指針では、健康情報は特に慎重に扱うべき情報であり、本人同意を前提に取得・共有し、取扱う人の範囲を限定し、漏えい防止などの管理体制を整えることが求められています。
病気の相談が職場での立場を不安定にするようなことが起きないよう、誤解や偏見が生まれない工夫も含め、職場側の配慮が重要になります。
2026年の労働市場は人手不足が続いています。
経験を積んだ人材が病気を理由に離職してしまうことは、本人だけでなく企業にとっても大きな損失です。
今回の努力義務化は、単なる法令対応にとどまらず、人材を守り、定着につなげるための土台づくりとして捉えることができます。
4月の施行に向けては、就業規則そのものを大改定しなくても、まずは社内の動線を確認することが現実的です。
相談窓口はどこか。
申し出があったとき誰が動くのか。
主治医の意見をどう受け取り、産業医等とどうつなぐのか。
情報は誰がどこまで扱うのか。
この基本だけでも決めて周知しておけば、いざというときに職場が固まらずに済みます。
病気になっても、できる形で働き続けられる社会に近づくことは、働くすべての人の将来の安心につながります。
そして安心がある職場は、結果として組織全体の信頼と定着を強くします。
2026年4月からの努力義務化は、その当たり前を職場の標準にしていくための、大きな一歩です。

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