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2025年「育児・介護改正」をどう整理するか―10月施行分も見据えた、いま押さえておきたい全体像―

  • Takashi Fukunaga
  • 23 時間前
  • 読了時間: 4分

2025年度は、育児・介護休業法や雇用保険法、高年齢者雇用安定法など、仕事と子育て・介護の両立や高年齢者雇用に関する改正が集中的に行われた年度でした。

2026年4月は、子ども・子育て支援金制度や治療と仕事の両立支援の努力義務化など新たなテーマへの対応に追われる一方で、「2025年改正分」についても、すでに施行済みの内容と、2025年10月施行予定の内容をあらためて整理しておくタイミングと言えます。


まず、2025年4月1日施行分としては、「育児」「介護」「高年齢者雇用」の三つの軸で押さえておくと整理しやすくなります。

育児分野では、子の看護休暇が「子の看護等休暇」として拡充され、対象年齢が小学校3年生修了まで引き上げられるとともに、感染症による学級閉鎖や入園式・入学式等への出席といった取得事由が明確化されました。

また、所定外労働の制限(いわゆる残業免除)の対象が小学校就学前までに拡大されており、「3歳未満までは残業免除、3歳以上は通常どおり」という従来の前提は見直しが必要となっています。

さらに、3歳未満の子を養育する従業員向けの育児短時間勤務制度について、制度の適用が困難な業務に就く従業員を労使協定で除外する場合に講じる「代替措置」に、テレワークが新たに位置付けられた点も重要です。


あわせて、男性育休の取得促進や育児休業の利用状況を「見える化」する観点から、育児休業取得状況の公表義務の対象が、従業員数1,001人以上から301人以上の企業へ拡大されました。

常時101人以上の企業については、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画において、育児休業等の取得状況や労働時間の状況を把握・分析したうえで、定量的な数値目標を設定することが義務付けられています。

人事・労務担当者としては、「誰がどの制度をどの程度利用しているか」を把握し、それを行動計画や情報公表につなげるという、データベース整備の視点がこれまで以上に求められるようになっています。


介護分野では、介護離職防止を目的として、企業に対する「雇用環境整備」と「個別の周知・意向確認」が一段と明確に義務付けられました。

具体的には、研修の実施や相談窓口の整備、自社の介護休業取得事例の提供、利用促進に関する方針の周知のうち、いずれか一つ以上の措置を講じることが義務とされています。

また、介護に直面した旨の申出をした従業員に対しては、介護休業や介護両立支援制度の内容と申出先、介護休業給付金の概要について個別に周知しつつ、本人の意向を確認することが求められます。

さらに、40歳前後の従業員に対しても、将来の介護に備えた情報提供を行うことが義務化されており、「いざというとき」に備えた意識づけを平時から行うことがポイントとされています。


高年齢者雇用の分野では、高年齢雇用継続給付の支給率が、2025年4月以降に60歳に達する方については最大15%から10%へ引き下げられました。

これにより、賃金水準によっては、60歳以降の就労に伴う手取りのイメージが変化するケースも出てきます。

また、高年齢者雇用安定法における経過措置が終了し、希望者全員について65歳までの雇用確保措置(定年引上げ、継続雇用制度、定年制廃止)のいずれかを講じることが、全企業にとって完全な義務となりました。

従来、労使協定によって継続雇用の対象者を限定していた企業では、2025年4月以降はその整理を改める必要が生じており、就業規則や高年齢者向けの雇用契約書の見直しが実務上の論点となっています。


2025年10月1日施行予定の改正としては、「3歳から小学校就学前」の子を養育する従業員に対する柔軟な働き方のための措置、および個別の意向聴取・配慮の義務化が大きなテーマとなります。

前者では、企業が、始業時刻等の変更(フレックスタイム制や時差出勤)、テレワーク等(月10日以上)、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇(年10日以上)、短時間勤務制度の五つのうち二つ以上を導入し、対象従業員に一つ選択できるようにすることが求められます。

後者では、妊娠・出産の申出時や、子が3歳になる前の一定期間に、勤務時間帯や就業場所、両立支援制度等の利用期間、業務量や労働条件の見直しなどについて、個別に意向を聴取し、自社の状況に応じて配慮することが義務化されます。


このように、2025年度の改正は、単に育児休業や介護休業の「取得要件」を見直すだけでなく、「データの把握と公表」「個別の相談・意向聴取」「テレワーク等を含めた柔軟な働き方」という三つのキーワードで貫かれている点が特徴的です。

2026年4月には、治療と仕事の両立支援や高年齢労働者の労災防止の努力義務化も始まっており、年齢やライフステージを問わず、多様な事情を抱える従業員が働き続けられる環境整備が、企業全体の課題となりつつあります。

人事・労務担当者としては、「育児」「介護」「治療」「高年齢者」のそれぞれについてバラバラに検討するのではなく、相談窓口や意向聴取のフロー、テレワークや短時間勤務等の制度を横断的に整理し、自社の実情に合った運用を整えていくことが求められる時期に来ていると言えます。

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