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少子高齢化のなかで就業者数は過去最高。それでも人手不足が続く理由とは。

  • Takashi Fukunaga
  • 2025年12月24日
  • 読了時間: 3分

少子高齢化による人口減少が加速する中で、日本の労働市場には驚くべき変化が起きています。

総務省の労働力調査によれば、2024年の平均就業者数は6,781万人となり、比較可能な1968年以降で過去最高を更新しました。

さらに、2025年も月次統計では就業者数の増加が続いています。

人手不足が深刻化する一方で「働いている人の数」そのものは増え続けているという、一見すると矛盾した現象が続いています。


この記録的な就業者数を支えている大きな要因は、女性と高齢者の労働参加が進んでいる点にあります。

かつて日本の女性の就業率は、結婚や出産を機に離職することで「M字カーブ」を描くのが特徴でしたが、現在ではその解消が進んでいます。

特に15歳から64歳の女性の就業率は、2024年平均で74.1%にまで上昇しています。

また、女性就業者数(15歳以上)は2024年平均で3,082万人となり、3,000万人を超えました。

育児支援制度の拡充や働き方改革の浸透、さらには医療・福祉といった労働需要の高い分野での受け皿が広がったことが、これまで労働市場から離れていた層を呼び戻していると考えられます。


同時に、高齢者の活躍も過去最高レベルに達しています。

65歳以上の就業者数は930万人にのぼり、就業者全体の13.7%、およそ7人に1人が高齢者という状況です。

高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会確保が努力義務とされており、制度面でも後押しが進んでいます。

さらに、高齢者の健康状態の改善や働く意欲の高さ、そして物価高等の経済的背景も相まって、定年後も「現役」として社会を支える形が定着しつつあります。


しかし、この「過去最高」という数字を手放しで喜ぶだけでは不十分です。

就業者数が増えている一方で、現場の人手不足感は依然として解消されておらず、特に建設や介護、運送といった特定の業種では深刻な制約となっています。

これまでは「労働力の量」を増やすことで減少分を補ってきましたが、今後は個々の労働生産性の向上や、短時間労働からフルタイムへの転換、そしてAIやデジタルの活用による効率化がより重要な局面を迎えます。

少子高齢化という構造的な課題に立ち向かうためには、単に人数を増やす段階から、いかに多様な人材がその能力を最大限に発揮できる「質の高い就業環境」を構築できるかが問われています。

女性や高齢者が無理なく、かつ持続的に働き続けられる柔軟な人事制度の設計と、健康管理の徹底、そしてリスキリングによるスキルのアップデート。

これらを企業が経営戦略の核に据えることで、人口減少社会においても活力ある組織を維持することが可能になります。

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