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介護職の処遇改善が再び議論に――人材確保のカギは何か

  • Takashi Fukunaga
  • 11月25日
  • 読了時間: 2分

介護分野の人材確保が深刻な課題となるなか、政府の有識者会議で、介護職の処遇改善を再強化すべきだという意見が相次いでいるようです。

少子高齢化の進行により、介護需要は増え続ける一方で、現場を支える人材は十分に確保できていません。

とりわけ離職率の高さは依然として大きな問題で、給与水準と業務負担のバランスが課題と指摘されます。

近年、処遇改善加算や所得向上策が導入され一定の効果はあったものの、現場からは「まだ十分ではない」との声を耳にします。

理由の一つは、業務の専門性が高まっているにもかかわらず、評価制度が追いついていない点です。

介護が単なる身体介助にとどまらず、認知症ケアや医療的ケアを含む多職種連携へと進化しているにもかかわらず、賃金へ反映されにくい状況があります。

さらに、介護サービス事業所の経営環境も無視できません。

人件費比率の高さや利用者の負担増への懸念から、賃上げだけでは現場の負担が増し、事業継続が難しくなるケースも考えられます。

このため、処遇改善と同時に業務効率化の支援やICT導入補助など、現場の働きやすさを底上げする施策が求められます。

一方で、利用者や家族にとっても職員の安定は大きな安心材料となります。

定着率が改善すればケアの質も安定し、地域包括ケアシステム全体の質向上にもつながります。

介護は制度だけではなく人によって支えられている領域であり、人材への投資は将来的な社会保障の基盤強化でもあります。

今後の議論では、介護報酬の改定や処遇改善の在り方だけでなく、職員一人ひとりが安心して働ける環境づくりが重視されるべきです。

人材不足という構造的課題に向き合う上で、介護職の処遇改善は避けて通れないテーマであり、その質と量をどう確保していくのかが、持続可能な介護体制の鍵となります。

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