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フリーランス新法、内容が浸透していない現場に潜むリスク

  • Takashi Fukunaga
  • 2025年12月23日
  • 読了時間: 3分

フリーランス新法の認知度に関する調査において、制度の内容を「よく知らない」「十分には理解していない」といった回答が多数を占めた、という結果が公表されています。

施行から一定期間が経過している現在も、法の詳細や具体的な義務内容が現場に十分に浸透していない実態がうかがえます。


この法律は、正式名称を「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といい、フリーランスと発注事業者との間の取引適正化と、就業環境の整備を目的としています。


法律が制定された背景には、働き方の多様化に伴いフリーランスが増加する一方で、発注者との交渉力格差から生じるトラブルが後を絶たなかった、という事情があります。

法律の対象となるフリーランスは、従業員を使用しない個人事業主や、一定の要件を満たす小規模法人などが中心となります。


この法律は大きく分けて、取引条件の明示などの「取引の適正化」と、ハラスメント対策などの「就業環境の整備」という二つの柱で構成されています。


取引の適正化の中心は、取引条件の明示と、支払のルールの明確化です。

発注事業者は、業務委託をする際に、給付の内容や報酬額、支払期日などを、書面または電磁的方法で「直ちに」明示することが求められます。

また、報酬の支払期日は、発注した給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で定め、その日までに支払う必要があります。


これらの考え方は下請法と似ていますが、下請法が資本金区分などの要件で適用範囲が決まるのに対し、フリーランス新法は発注側の資本金要件による線引きが前提ではない点が特徴です。


さらに、一定期間以上の継続的な業務委託(政令で定める期間以上)を行う場合には、受領拒否、報酬の減額、不当な返品などの行為が禁止行為として明確に位置づけられています。


就業環境の整備については、フリーランスとの業務委託においても、ハラスメントに適切に対応するための相談体制の整備など、必要な措置を講じることが求められます。

また、フリーランスがハラスメント相談等を行ったことを理由に不利益な取扱いをすることも禁止されています。


加えて、継続的な業務委託においては、フリーランスから申出があった場合に、妊娠、出産、育児、介護と業務を両立できるよう、状況に応じた必要な配慮を行うことが求められます。

この「配慮が義務となる」対象は、政令で定める一定期間以上継続する業務委託であることが前提となります。

同様に、継続的業務委託を途中で解除する場合や契約終了後に更新しない場合に、原則として30日前までの予告が必要となる場面もあります。


一方で、制度内容の理解が十分でないまま取引が続くと、現場では「口頭だけの発注」「条件が曖昧なままの追加作業」「支払条件の不透明さ」といった形で、旧来の慣行が温存されやすくなります。

その結果、発注側が悪意なく法令違反に至るリスクや、受注側が権利を行使できないまま不利益を受ける状況が起こり得ます。


本法は、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省が関係し、違反が疑われる場合には調査や指導等の対象となり得ます。

勧告に従わない場合の命令や公表、さらに命令違反等に対する罰則も制度として設けられています。


だからこそ、いま必要なのは「知っているかどうか」ではなく、「契約書面や発注フローに落とし込めているかどうか」だと思います。

取引条件の明示と支払期日の整備を徹底し、ハラスメント対応も含めて“委託でも守るべき就業環境”を整えることが、これからの実務の基本になっていくはずです。

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