はじめての労務管理:36協定と「時間外労働」の基本を押さえる
- Takashi Fukunaga
- 13 分前
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本日は、前回お伝えした「1日8時間・1週40時間」という法定労働時間の原則を踏まえつつ、それを超えて時間外労働・休日労働をさせる際に必ず押さえておきたい「36協定」の基本について整理します。
まず確認したいのは、法定労働時間や法定休日を超えて労働させる場合、労働基準法上は「36協定(時間外・休日労働に関する協定)」の締結と所轄労働基準監督署への届出が義務付けられているという点です。
この手続をしていない状態で残業や法定休日労働をさせると、それだけで法令違反となり得ます。
36協定は、会社が一方的に決めることはできず、事業場の過半数労働組合、または労働者の過半数代表者と書面で協定を結ぶ必要があります。
この「過半数代表者」は、管理監督者を除く労働者からの投票・挙手等により選出することが求められ、会社側が指名する形で形式的に選任することは適切ではありません。
協定書には、時間外労働・休日労働をさせることができる「業務の範囲」と「限度時間」を具体的に定める必要があります。
単に「業務多忙のとき」などの包括的・抽象的な書き方ではなく、繁忙期対応、機械のトラブル対応、決算事務など、できるだけ具体的に記載しておくことが望ましいとされています。
時間外労働の上限については、いわゆる「働き方改革関連法」によって、原則として月45時間、年360時間という限度が法定化されています。
これを超えて残業させる必要がある場合には、「特別条項付き36協定」として、臨時的な特別の事情がある場合に限って上限を引き上げることができますが、その場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、単月100時間未満など、さらに厳格な上限規制が課されている点に注意が必要です。
なお、36協定は「締結+届出」をしたからといって、無制限に残業させてよいわけではありません。
協定の範囲内であっても、健康確保措置や業務量の配分を怠り、恒常的な長時間労働を放置していると、安全配慮義務違反等として別途問題となる可能性があります。
また、協定で定めた上限時間を超える運用が常態化している場合には、協定内容そのものの見直しや、業務設計の再検討が不可避となります。
さらに、36協定を締結・届出しても、時間外労働・休日労働に対する割増賃金の支払義務は当然に残ります。
法定時間外は2割5分以上、法定休日労働は3割5分以上、深夜労働(22時〜5時)は2割5分以上の割増率が必要となり、1か月60時間を超える時間外労働については、中小企業も含め5割以上の割増率が求められます。
実務担当者としては、「そもそも36協定が有効期間内か(期限切れになっていないか)」「協定で定めた上限と、実際の残業時間が整合しているか」「割増賃金の計算・支給が、協定内容および労基法上の基準に沿っているか」といった点を、定期的にチェックしておくことが重要です。
明日は、36協定の締結状況を社内で確認する際のチェックポイントと、過半数代表者選出の際に押さえておきたい実務上の留意点について整理する予定です。

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