えるぼし認定に「健康配慮」を加える新類型へ――えるぼしプラス(仮称)のポイントと実務への影響
- Takashi Fukunaga
- 2025年12月25日
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厚生労働省は、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」について、女性の健康上の特性に配慮した取組を評価する新たな類型として「えるぼしプラス(仮称)」を設ける方針を示しています。
公表資料では、省令改正により、公布は2025年12月下旬(予定)、施行は2026年4月1日(予定)とされています。
これまでのえるぼし認定は、採用、継続就業、労働時間等の働き方、管理職比率、多様なキャリアコースという5つの評価項目に基づいていました。
今回の見直しでは、これらに加えて、女性特有の健康課題への対応が、より明確に評価の枠組みに組み込まれることになります。
この動きの背景には、女性がキャリアを形成していく過程で直面しやすい健康上の課題が、離職やパフォーマンス低下につながり得るという問題意識があります。
月経に伴う不調や更年期による体調変化、不妊治療など、個人の努力だけでは抱えきれないテーマに対し、企業が組織として支援を行うことで、健康を維持しながら能力を発揮できる環境を整える必要性が高まっています。
公表資料で示されている認定基準の骨格は、制度の「名称」や「個別施策の有無」だけで評価するのではなく、休暇制度や柔軟な働き方の仕組み、周知・研修・相談体制といった、実務として機能する仕組みづくりを求める点に特徴があります。
具体的には、女性の健康上の特性に配慮した休暇制度を設けることが求められ、あわせて、半日・時間単位年休、時差出勤、フレックスタイム、短時間勤務、在宅勤務など、柔軟な就業を可能にする制度の整備も要件として整理されています。
さらに、企業として方針を示した上で制度を周知すること、理解を深める研修等を行うこと、相談対応を担う担当者を選任して周知することなど、運用面の整備も含めた要件が示されています。
こうした枠組みが整うことで、企業の取組は、単なる制度導入にとどまらず、現場の困りごとに結びつく支援へと発展しやすくなります。
たとえば、月経や更年期の不調に対する配慮、不妊治療と業務の両立に向けた勤務調整、健康課題への理解を深めるリテラシー向上、安心して相談できる窓口の整備などは、制度の実効性を高める具体策として検討しやすい領域です。
また、検診受診の促進や専門職による相談体制の充実といった、予防や早期対応につながる取り組みも、企業の「健康への向き合い方」を示す要素として重要性が増していくでしょう。
企業がこの認定を取得するメリットは、採用・定着の観点だけではありません。
女性の健康課題に組織として向き合う姿勢は、健康経営や人的資本経営の取組として外部に示しやすく、職場環境の整備を通じて生産性の底上げにもつながり得ます。
また、公的な評価制度の枠組みに沿って取り組みを整理できること自体が、社内の改善を進める推進力にもなります。
女性活躍推進は、単に数値目標を達成する段階から、働き方の質をいかに高めるかというフェーズへ移行しています。
えるぼしプラス(仮称)の普及により、女性特有の健康課題への理解と支援が、特別な配慮ではなく標準的な職場ルールとして定着し、誰もがライフステージに応じて柔軟に働き続けられる社会の実現が加速することが期待されます。
企業としては、自社の制度と運用の現状を把握し、新たな基準に照らして不足している環境整備を早期に検討することが有益でしょう。

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