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短時間労働者への社会保険適用拡大、週20時間以上が新たな焦点に

  • Takashi Fukunaga
  • 11月9日
  • 読了時間: 2分

厚生労働省は、短時間労働者(いわゆるパート・アルバイト)への社会保険の適用をさらに拡大する方向で制度見直しを検討しています。

これまで「週20時間以上勤務」や「年収106万円以上」などの要件に加えて、従業員数51人以上という企業規模要件がありましたが、今後はこの要件を撤廃し、事業所の規模にかかわらず適用する案が有力とされています。


背景には、働き方の多様化と人手不足があります。

短時間勤務でも主たる収入源として働く人が増え、企業の枠を超えた公平な社会保険制度が求められているのです。

現行制度では、同じ勤務実態であっても「大企業では加入、小規模事業所では未加入」となるケースが多く、これが制度のひずみとして長く指摘されてきました。


見直しでは、企業規模要件の撤廃に加えて、賃金要件(年収106万円の壁)や雇用期間要件の緩和、個人事業所への適用拡大も議論されているようです。

これが実現すれば、週20時間以上働く労働者は、原則としてすべての事業所で社会保険(厚生年金・健康保険)の加入対象となる可能性があります。


企業に求められる実務対応は多岐にわたります。

まずは、現時点での勤務実態の整理と加入対象者の把握が必要です。

労働契約書やシフト表の確認に加え、繁忙期・閑散期で労働時間が変動するパート社員についても平均勤務時間を正確に算出しておくことが重要です。


また、今後は加入者増に伴う保険料負担の増加も避けられません。

経営側としては「労働時間調整」よりも「制度を前提にした働き方設計」へと発想を切り替えることが求められます。

社会保険の適用は、将来の年金・医療保障の充実にもつながるため、従業員にとっても安心材料となるはずです。


制度改正の詳細は、今後の審議会や通常国会での法案提出を経て具体化していくはずです。

中小企業にとっても大きな転換点となる可能性があるため、情報を早めにキャッチし、体制を整えておくことが大切です。


「週20時間以上」が社会保険の新しい境界線になる日も遠くないかもしれません。

実務の現場では、誰が対象になるかを一人ひとり丁寧に確認しながら、将来を見据えた労務管理を進めていきたいところです。

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