7割が賃上げ実施も6割は「防衛的」?日商調査に見る中小企業の厳しい実情
日本商工会議所が公表した調査結果から、中小企業における賃上げの実態が明らかになりました。
2026年4月7日から5月18日にかけて実施された調査によると、2026年度に賃上げを「実施済」または「実施予定」と答えた企業は全体の71.4%に達し、昨年度並みの高い水準を維持しています。
賃上げ率も4.01%と4%を超える結果となり、数字の上では中小企業の賃上げが進んでいるかのように見えます。
しかし、その内情を詳しく見ると、手放しでは喜べない経営者たちの実情が浮かび上がってきます。
今回の調査で特に注目されるのは、実施された賃上げの質です。
賃上げを業績の改善を伴う「前向きな賃上げ」と回答した企業は39.1%にとどまり、約6割の企業が「防衛的賃上げ」、すなわち業績の改善が見られない中での賃上げを実施・予定していると回答しました。
その主な理由としては、物価上昇への対応(68.2%)や、人材の確保・採用(66.7%)が挙げられています。
業績が改善していない中でも、物価上昇への対応や人材確保などを理由に賃上げを実施・予定している企業が多いことが分かります。
一方で、賃上げの見送りを決めた企業側の事情も深刻です。
見送りの理由としては、売上の低迷(55.0%)をはじめ、コスト負担増(40.3%)、景気の先行き見通しの不透明感(34.9%)などが上位を占めました。
さらに中東情勢等による先行きの不透明感を懸念する声もあり、賃上げをめぐる中小企業の厳しい経営環境が浮き彫りとなっています。
全体として高い実施率を示しているものの、その多くが防衛的な措置であるという事実は、中小企業の経営負担が大きくなっている可能性を示唆しています。
単なる賃金引き上げにとどまらず、価格転嫁の促進や生産性向上など、企業の収益力を根本から高める取り組みが今後さらに重要になっていくと考えられます。

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